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建て替えの常識を疑え!銀行や税理士からの提案は本当に正しいの?|建て替えかリノベーションか連載1弾

本連載では中小のオフィスビルを経営されているビルオーナーの頭を悩ませる「建て替えかリノベーションか?」というテーマについて、金額やビルの使用可能期間、相続や税金等、様々な切り口でビルオーナーの皆さんと一緒に考えていきたいと考えています。

第1弾となる本記事ではビルの「建て替えかリノベーションか?」というテーマの入口となる「常識を疑え」という切り口で「では何をどのように疑ったらいいのか?」、その概要を紹介させていただきたいと思います。

実際に私が相談を受けさせていただいたオーナー様のご相談から私達が物件を再生させるまでの経験や提案をあますところなく織り交ぜた連載です。特にビルオーナーの皆様は、お持ちの物件を頭に思い浮かべながら、時に気になるテーマはノートやPCを開きながら、一緒に考えていただけたらと幸いです。

それでは連載のスタートです!

<本連載のシミュレーションで用いている物件情報>

本連載では建築費やオフィスビルのローン金利変動リスクをシュミレーションするにあたり、次のビルをモデルケースとしています。

同じ計算ロジックで、皆さんも同じようにシュミレーションして一緒に考えていただければと思います。

テナワン社セミナー資料|ビルモデルケース

あるオーナーからの相談。銀行や税理士からの提案とオーナーの悩み

築50年超のビルを所有するあるオーナーさんから「折り入ってのご相談」をいただきました。不動産の売却で一時金が入ってきそうなので「これを元手に建物を建て替えちゃった方がいいのかな?」というお悩みです。

お話を伺うと今のビルに色々と不安があるようでした。

「ビルは古くなってきていて、テナントが入居している状態でも、外壁や防水など、これからの改修費用がかかってくることは明らかで、このままだと今のテナントさんに借り続けてもらうことはもちろん、次のテナントを見つけるのも難しくなるんじゃないかな?少なくとも賃料は下げないといけないよね?」

「もちろん古いビルだから、旧耐震基準の建物だし、使い続けるなら耐震補強も必要なんだよね。」

「ただ、建て替えだと、ビルの建築費用の他に解体費用、建て替え中の生活費や各種税金など、予想以上にコストがかかりそう…今は最上階に住んでいるけど建て替え期間中は他で家を手当しないといけないよね?荷物も多いし、思った以上に予算が高くつきそう。そもそもこれだけで全部の出費をおさえられているのかもよくわかってなくて…」

ということで「ちょっと話を聞いてよ!」というご相談でした。

「銀行からは、借入をすれば相続税対策にもなるから、建て替えた方がいいって言われてるんだけどさ…なんなら提案書もきてるんだけど…相続税だけでいいのか、色々と話を聞かないと話も大きいし決められないんだよね」

石田確かに相続税の軽減だけを考えれば、借入をして建て替える選択肢は理にかなっています。でもそうなると30年以上の長期間、安定的な賃貸運営を続けていかなければなりません。

そもそも「建て替えて容積が大幅アップ!」なんてことでもない限り、そんな長期に安定的に稼働して、かつ今より大幅に稼げるという可能性は低いでしょう。

こんなオーナーさんからの御相談をもとに、私達が様々なビルの提案や運営をさせていただいて得たビルの建て替えかリノベ・修繕か?を考える時の観点について、考えてみたいと思います。

本当に建て替えしかないのか?旧耐震・相続税対策・テナントがいない。そんな常識を疑う5つの観点

ビルオーナーの方々は、頭の片隅にビルの築年数が経ち、漠然と未来への不安を抱えながら、様々な提案や情報のなかで本当にコレでいいのかな?と戸惑われていると思います。

簡単には決断できない問題です。しかも人生で1度か2度しか向き合うことがなく、経験や知識も持ち合わせていないということも多いと思います。もしかしたら結婚に似ているかもしれません。

そこで本記事では、中小ビル経営のコンサルティングを専門とする私達がどんなことを考えるのか?建て替えが本当にいいのか?を見極める観点を御紹介したいと思います。

「相続税対策になるから借入れして建て替え」という常識を疑え

Mlit令和6年3月から適用する公共工事設計労務単価について

近年、建築費の市場価格が大きく高騰していることは、皆さんも耳にされているかと思います。日本では資材の高騰だけでなく、職人や建設業界の人手不足も相まって、建築費が一層上昇しています。

例えば、鉄筋コンクリート造の建築費は過去10年間で1.5倍以上に上がったとも言われています。建て替えを決断する前に、現在の市場環境を十分に理解し、長期的な視点で収益性を見極めることが必要です。

また、ビルの建築費用は単に材料費や施工費だけでなく、設計費や申請費用などの諸経費もかかります。

さらに、ビルの建て替えには、多くの場合で「多額の借入が必要」になります。しかし、その借入に対する金利は、現在の経済状況によって大きく変動する可能性があります。

この金利が歴史的に国内外の事例をもとに、どの程度まで変動し得るのか?そして今はどういう将来にむけたトレンドなのか?をシュミレーションすることは大切だと思います。

この建築費とローン金利については、第2回の連載記事「オフィスビルの建て替え工事!建築費とローン金利変動リスクの検討は十分にできていますか?」で詳しく御紹介しましたので、一緒に考えてみていただければと思います。

建て替えで必要な費用を忘れてませんか?これで十分!という常識

建築費とローン金利は、建て替えを考えるビルオーナーの方なら検討されたことがあると思います。(連載の中では、物件のモデルケースを立ててリノベーションした場合、金利に変動が無い場合、金利が大きく動いた場合で「ローン返済後の手残り金額」をシュミレーションした結果等も紹介しているので、ぜひ一読いただければと思います)

一方で、建て替えを考える時に考えないといけない費用は、それだけではないんです。

例えば、テナント退去費用があります。また、テナントさんに退去いただいたら当然ですが賃料収入はなくなりますが、どの程度の期間、賃料収入がなくなるか考えたことはありますか?

また、その収入が無い期間にも生活費や各種税金の支払いは必要です。そうした隠れた費用について、主だった内容を1つずつ、モデルケースをたてながら「具体的な金額」を連載記事 第3回「建て替え計画で忘れがちな費用!見落としがちな隠れコストと対策」で一緒に考えてみたいと思います。

築50年が古いは常識?鉄筋コンクリート造のビルは何年使えるのか

「築50年」と言われて、皆さんは古い!と思いますか?実際にインターネット検索では「築50年」またはそれ以上の築年数で検索する人は、かなり少ないと思います。(一部に「そういう好みの人」もいらっしゃいます)

ただ国土交通省のレポートでは鉄筋コンクリート造のビルは、適切なメンテナンスをすれば「100年以上も使える」としています。実際に日本最古の鉄筋コンクリート造のビル「KN日本大通ビル(旧三井物産ビル)」は御年120年でも実物は綺麗で雄大です。

実際に私達は築50年以上の鉄筋コンクリート造のビルを何棟も運営しています。

築年数にとらわれず長きにわたってビルを保持するには、メンテナンスだけでは足りません。耐震補強も必要かもしれません。設備も入れ替える必要がある場合もあります。

更にビル経営を続ける為に必要なことは何か?

「築50年は古い」という常識を覆し、コストをおさえて長きにわたってビルに現役で活躍し続けてもらう為の方法を連載記事 第4弾「鉄筋コンクリートのビルは100年持つ?築古ビルの利用可能期間と延命のリアル」にて紹介したいと思います。

建て替えか?リノベーションか?リフォームか?物件にあわせた選択肢

ここまででビルは築50年経っても適切なメンテナンスをしていれば使い続けられること。そして、建て替えにはもしかすると想定以上の費用がかかり、相続税が安くなっても場合によっては借金と赤字だけを未来に残す可能性があることをお伝えさせていただきました。

脅したいわけでも建て替えがダメだというつもりは無いんです。ただ安く仕上げて長く使えるなら、その方がよくないですか?一度、考えてみませんか?ということをお伝えしたいだけなんです。

そこで続いては「じゃぁどうしたらいいの?」という疑問に迫りたいと思います。正解は無いテーマですし、オフィスビルやオーナーさんのプライベートも含めて考えないと「最適な回答」をだすことも難しいのは事実です。

ご相談をいただくとロジカルにすすめられるお金や修繕・リノベーションの話より、ウエットなプライベートに踏み込んだ話も色々と整理していかないといけないことも多いです。

ただ、だからこそ大枠として「こういう物件なら」というモデルケースを立てさせていただき、「建て替え」「リノベ-ション」「リフォーム」という選択肢の選び方・組合せ方を一緒に考えて見たいというのが連載記事 第5弾「建て替えか?リノベーションか?リフォームか?物件に合わせた条件と選択肢」を公開予定です。

ビルオーナーの相続対策!「建て替えたら終わる」という常識と対策

最後にビルの相続について考えてみたいと思います。ビルの相続税対策がキッカケで「建て替え」を考えるオーナーさんは多いのですが、「相続」はそれだけでは終わりません。

まず「建て替えたビル」は多くの場合、相続税は安くても借金も一緒に相続することになります。その借金付のビルは「本当に未来でも順風満帆」で収益をもたらしてくれるのか?借金付き新築ビルを相続する意味を考えてみたいと思います。

続いて、お子様が複数人いらっしゃる場合に、どのように相続したらよいのか?いくつかの資産相続の方法をこれまでいただいたご相談をもとに紹介したいと思います。

連載記事 第6弾「ビルオーナーの相続対策!「建て替えたら終わる」という常識と対策(公開準備中)」では、ビルオーナーの相続対策について、相続税だけでなく相続の仕方や前準備を御紹介したいと思います。

まとめ|建て替えの常識を疑え!建て替えかリノベーションか連載企画

建て替えは大きな決断であり、メリットも多いですが、見落としてはいけないリスクも多数存在します。銀行や税理士の提案をそのまま受け入れるのではなく、自ら慎重にシミュレーションし、長期的な視点を持って判断することが重要です。

例えば、建築費の高騰、金利の変動、借入の返済計画、30年後の資産価値など、多角的な視点で検討することで、思わぬリスクを避けることができます。

また、よかったら今のビルのままで収益性を向上させる方法がないのかも、本連載と共に一度検討してみてください。本連載ではモデルケースを元に具体的なシュミレーションもお示ししてみたので、皆さんのビルだとどうなるか?も考えやすいと思います。

もし皆さんのビルだとどうなるのか?そんな疑問がありましたら、気軽にご相談いただければと思います。

この連載には書ききれないのですが、実際には家族との関係性や考え方の違い、古くからのテナントさんとの関係性、物件に対する思い等、一概に語れないことも多く絡み合います。

そうした事情も含めて、胸襟を開いて話し合えるパートナーになれたらと願いながら、書き記した連載記事です。ぜひ読んでいただいた方の心の琴線にふれ「話してみてもいいかな?」と思っていただけたら幸いです。

ぜひ皆さんのビルの将来について、一緒に考えていきましょう。

建て替えかリノベーションか?連載企画一覧

本連載の一覧はコチラです。

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