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鉄筋コンクリートのビルは100年持つ?築年数が古い建物の利用可能期間と延命のリアル|建て替えかリノベーションか?連載4弾
テナワンの石田です。本連載では中小のオフィスビルを経営されているビルオーナーの頭を悩ませる「建て替えかリノベーションか」というテーマについて、金額やビルの使用可能期間、相続や税金等、様々な切り口でビルオーナーの皆さんと一緒に考えていきたいと考えています。
前回の第3弾ではビルの建て替えで“忘れがちな費用”について、どれぐらいの金額になるのか?そのシュミレーションも含めて一緒に考えていただきました。
第4弾となる本記事では、そもそも鉄筋コンクリート造のビルってどれだけ使えるの?という利用可能期間を一緒に考えていきたいともいます。
実際に築年数が経てば借り手も見つかりにくくなったり、賃料を下げたり、設備も古くなるし、使えなくなるんじゃないか?という不安は多くのオーナーさんが心のどこかで抱えていると思います。「うちも築50年…周りを見れば新しいビルばかりだし、もう限界だろうか」なんて、思わずため息をついていませんか? 安心してくだい。私がご相談をいただく多くのオーナーの方も同じように悩んでいますので、そう考えてしまうのも無理はありません。
でもですね、鉄筋コンクリートのビルというのは、皆さんが思うよりずっとタフなんです。構造自体は、実はとても丈夫にできている。だからこそ、適切な手入れと、時代に合わせた価値を高める投資をしてあげれば、100年だって立派に活躍できる可能性があるんです。その具体的な方法と「リアル」な事例を御紹介したいと思います。
もし皆さんのビルの具体的な相談やシュミレーション等、何か私達で御相談にのれることがあれば気軽にお問合せください。
<本連載のシミュレーションで用いている物件情報>
本連載では建築費やオフィスビルのローン金利変動リスクをシュミレーションするにあたり、次のビルをモデルケースとしています。
同じ計算ロジックで、皆さんも同じようにシュミレーションして一緒に考えていただければと思います。
築100年以上の現役ビル!
1911年に竣工した日本最古の横浜三井物産ビル
横浜の日本大通りに佇む横浜三井物産ビルは、1911年の竣工から110年以上経った今も現役で使われている日本最古の鉄筋コンクリート造オフィスビルです。当時としては革新的だった全鉄筋コンクリート構造を採用し、1923年の関東大震災では多くの建物が倒壊する中、無傷で耐え抜き、その耐震性の高さを実証しました。
日本のコンクリート建築のパイオニア・遠藤於菟の代表作であり、外観デザインには当時としては斬新なセセッション様式を取り入れており、日本建築界に新たな風を吹き込みました。
このビルは明治から昭和初期にかけての日本経済を支えた生糸貿易の拠点として機能していて、関東大震災後もビル内の倉庫に保管されていた生糸が無事だったことで、三井物産は他社に先駆けて貿易活動を再開し、経済復興に貢献できたという逸話があるビルです。
このように鉄筋コンクリート造りのビルの寿命は長く、寿命を左右するのは構造体よりも定期的なメンテナンスです。外壁塗装や防水の更新など予防保全を適切に行えば、築70年、80年はもちろん、100年を超える利用も十分可能です。
日本で現役で活躍するビルを御紹介しながら、弊社で御相談にのらせていただいたオーナー様のお話を元に実際にビル経営で直面する「築年数のお悩み」を紐解きながら、どうしたら100年を見据えてビル経営が考えられるのか「重要ポイント」を御紹介したいと思います。
鉄筋コンクリートの寿命は50年?いえいえ、100年使えます!
「鉄筋コンクリートの寿命は50年」という通説を耳にしたことがあるビルオーナーの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
これは、日本の建築基準法が定める法定耐用年数(鉄筋コンクリート造の場合47年)が一人歩きした部分もあるのではないかと考えています。
実際には、適切な設計と定期的なメンテナンスを行えば、鉄筋コンクリート造の建物は100年以上使い続けることができます。日本各地には、築90年以上経過しても現役で使われている鉄筋コンクリート造のビルが存在しますので、いくつか御紹介したいと思います。
築96年を迎えた重要文化財!中央区日本橋の三井本館
1929年に竣工した三井本館は、関東大震災の復興を象徴する鉄筋コンクリート建築の傑作です。三井財閥の本拠地として「壮麗・品位・簡素」をコンセプトに建設され、外装には茨城県産花崗岩、内部にはイタリア産大理石を用いた格調高いデザインが特徴です。
特に外壁を貫くコリント式列柱は、昭和初期を代表するアメリカンタイプのオフィスビルの象徴として今も多くの人々を魅了しています。
その価値は時を経ても色褪せることなく、1998年には「意匠的に優秀」かつ「歴史的価値が高い」として国の重要文化財に指定されました。
現在は「保存と開発」を両立させる取り組みの一環として、隣接する日本橋三井タワーと一体運営されており、歴史的建造物を商業施設として活用しながら日本橋エリアの地域活性化に大きく貢献しています。
銀座の歴史を語り続けるレトロな建物
現在もテナント埋まる築90年以上の中央区銀座の奥野ビル
1932年に竣工した奥野ビルは、当初は手動式エレベーターや全館暖房を完備した高級賃貸アパートメントでした。
関東大震災の教訓を生かした堅牢な鉄筋コンクリート構造で建設され、90年以上経った今もその姿を保ち続けています。階段手すりや廊下のモザイクタイルなど、昭和初期のレトロなデザインが随所に残されており、往時の美意識と技術を今に伝えています。
戦後、高級住宅から事務所用途へと転換した奥野ビルは、時代の変化に柔軟に対応しながら新たな価値を創出してきました。
現在ではギャラリーやアンティークショップが集まる「レトロなアートビル」として生まれ変わり、その独特の雰囲気は多くのアート愛好者や観光客を惹きつけています。「銀座奥野ビル306号室プロジェクト」では最後の住人が使用していた部屋をそのまま保存し、美術展示やイベントを通じて昭和文化の継承にも取り組んでいます。
この古いビルはオワコンなのか?築古ビルオーナーのリアルな悩み
30年・40年・50年と築年数が経つにつれて、かつては確実な収益を生み出していた物件も、時代の変化と共にさまざまな課題に直面しています。多くの中小ビルオーナーが岐路に立たされ、次のような根本的な問いと向き合っています。
- 「このまま持ち続けるべきか」
- 「建て替えた方がいいのか」
- 「リノベーションで再生できるのか」
- 「売却して手放すべきか」
これらの判断を難しくしているのは、複数の要素が絡み合う問題の”複雑さ”です。物理的な老朽化に伴うメンテナンスコストの増大、耐震基準の厳格化による安全性確保のための投資負担、設備の陳腐化によるテナント誘致力の低下などが同時進行で発生しています。
加えて市場環境も厳しさを増しています。新築ビルの供給が続く中で賃料競争が激化し、特に都市部では築古ビルの立ち位置が不安定になっています。また、働き方改革やテレワークの浸透は、オフィス需要の質的変化をもたらし、従来型のビル運営が通用しなくなってきました。
中小ビルオーナーにとって、これらの変化に適応しながら資産価値を維持する道筋を見出すことは容易ではありません。
この章では、築古ビルオーナーが抱える三つの代表的な悩みに焦点を当て、その実態と向き合い方を考えていきます。
「このビル、あと何年持つのか?」耐震・老朽化の悩み
「先代から引き継いだビルなんですが、築50年を超えています。先日、エレベーターの制御盤が故障して、部品がもう製造されてないと言われました。全体交換となると数千万円かかると。そのうえ、テナントさんが入居している状態でも、外壁や防水など、これからの改修費用がかかってくる…また、旧耐震基準時代の建物ですので、使い続けるなら耐震補強も必要だと思うんですよ。ただ、大規模修繕をするにしてもそれで十分なのか?費用対効果も気になります。このビル、あとどれくらい使えるんでしょうか?」(東京・港区 Hさん・50代)
このように、築古ビルオーナーの多くは建物の残存寿命と投資判断の見極めに苦慮しています。1981年以前の旧耐震基準で建てられたビルは、現行の耐震基準を満たしていない可能性が高く、ビルの構造や耐震性の程度により異なりますが、耐震補強工事には数千万円から億単位のコストがかかることも珍しくありません。
また、耐震補強だけしても賃料が上がるわけでもテナントがどんどん来るわけではありません。出費しても賃料収入は横ばいか減少傾向のなかで「修繕だけで十分なのか?建て替え以外に選択肢はないのか?」という悩みに直面し、建物の残存寿命と今後の投資判断の見極めに苦慮される方が多いのは事実です。
ぜひ本連載で、そうした悩みを解決する、前向きに考え始める機会になればと願いを込めています。
「もうどうしていいか分からない…」利用用途が分からないオーナーの悩み
この御相談をいただいたビルもそうだったのですが、最低限必要な電気・給排水・空調等の修繕はできるのです。一方で、オフィス需要にあわせてどこにどの程度の投資が必要なのか?といった判断をすることは、変わりゆくテナント需要のなかで非常に難しいと考えています。
特に最近は、フリーアドレス化、コワーキングスペースの台頭、テレワークの普及など、働き方の多様化もあわさって、従来型の区切られたオフィスとは異なるフォイス需要が増えていることも確かです。
このビルもパソコンその他の電気製品が普及していなかった時代に建てられたビルなので、面積あたりの電気容量が少なく、それをどう増やすか?という課題に直面しました。この時は電力会社と協議を重ねて、一定の受電容量を増やしてもらうことに成功できたので良かったのですが、こうした課題と解決は様々な切り口で毎回私達でも頭を悩ませます。
一定の法則や経験値は溜まっていくので、御相談をいただければ可能な限りご提供したいのですが、ビルの現況→現代のオフィス需要→投資判断、というのはビル毎の商圏や特性に合わせて個別判断することも多いです。
これは複数ビルを保有していないビルオーナーに求めても難しい話だと思うので「利用用途が分からない」「どこから始めていいか分からない」という方は、ぜひ一緒に考えていけたらと思っています。
「新しいオフィスビルも増えて選ばれない」商品価値が下がってしまった悩み
この悩みは、多くの築古の中小ビルオーナーが直面している現実です。ビル自体は時の経過に合わせて古くなりますし、インターネット検索にもかかりにくくなる。更にこのビルのように規模が小さいと仲介会社さんも実入りが少ないので、積極的に紹介しにくい。
さてどうするか?
このビルには5階建てでエレベーターもありませんが、私が内覧した時に心を打たれたとっても素敵な屋上があります。
他の中小ビルでも似たようなことはありまして、使っていない屋上やテラスがあるんですよ。スペースの価値に気付いていない場合もありますが、防犯や事故防止の観点から使われていないことも多いです。
屋上は適切な予防と使い方を提案すれば、ビルの魅力を数段引き上げてくれます。実際にこのビルも5階建てでエレベーターがありませんが、屋上を木製デッキをしいてベンチを置き、休憩と交流のスペースにすることで、とても人気の物件になりました。
このように築古の中小ビルでも「テナント目線に立った魅力」を見つけて、きちんと投資をして整えてあげると差別化を図れる魅力が産まれ、競争力を持った戦える物件になれることがあります
「うちの古いビルは、あと何年使える?」ビル寿命を決める5つの分岐点
鉄筋コンクリートの寿命は「法定耐用年数」ではなく「実際の寿命」が大事
鉄筋コンクリート造(RC造)の法定耐用年数は事務所用で50年とされていますが、これは税制上の減価償却期間を示すものであり、建物の物理的寿命とは異なります。
国土交通省の報告書によると鉄筋コンクリート建物の物理的寿命は100年以上とされ、適切なメンテナンスを行えばさらに延命可能です。実際に三井物産ビル(現KN日本大通ビル)等が実在することは本記事上部で御紹介した通りです。
出典:国土交通省 「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書 とりまとめ後の取組紹介
実際に「100年以上も長生きできる」というのが鉄筋コンクリート造りのビルの実態です。ではその寿命を分けるのはなんでしょうか?
ビルの寿命を左右する最大の要因は「メンテナンス」です。このメンテナンスを計画的にできているかどうか?がビルの寿命を50年どころか100年以上の長寿にする最初の分岐点です。
特に外壁や内部鉄筋の状態が重要で、定期的な点検と早期補修が不可欠です。放置すると鉄筋のコンクリート保護機能が低下し、中性化や鉄筋腐食が進行します。これにより建物全体の構造強度が徐々に失われ、最終的には使用できなくなってしまいます。
それではどのような「メンテナンス」をすればいいのか、順番にご紹介していきます。
外壁塗装と防水工事が一番大事!ビルの寿命を決める予防保全
さて、ここまで“ビルの建て替えかリノベーションか”の検討で考慮しないといけない費用について、特に「見落としガチなコスト」に焦点を当ててご紹介させていただきました。オーナーさんにとっては多くの場合、人生でそんなに多くない機会なので「分かってはいるけど、そこまで考えていなかった」という方もいらっしゃるかもしれません。
外壁塗装には様々な種類があり、それぞれで耐用年数が大きく異なります。
- アクリル系:経済的ですが3~5年程度で劣化が始まります。
- シリコン系:値段と効果のバランスが良い。約11~13年の耐用年数
- フッ素系:初期コストは高いものの11~15年と長持ちします。
中小ビルオーナー様におすすめなのは、コストパフォーマンスに優れたシリコン系(11~13年)です。
次に大事なのは防水工事です。こちらは10~15年サイクルでの実施が一般的です。屋上や外壁のひび割れを放置すると、雨水が浸入して鉄筋を腐食させ、深刻な構造劣化を引き起こします。漏水が発生してからでは、内部に大きなダメージが生じている可能性もあります。そうなると修繕費用は数倍に膨らむので、やはり「予防保全」が大事になります。
この外壁塗装と防水工事を定期的にやっておくことが長寿ビルにする為の2つ目の分岐点になります。
耐震補強は大切!旧耐震のビルは適切な補強を
続いてビルの寿命を伸ばすために大切になるのが「耐震補強」です。
1981年以前に建築された「旧耐震基準」のビルは、新耐震基準に比べて地震への耐性が低いとされています。特に大地震時には倒壊リスクが高まるため、耐震診断を受けた上で必要な補強工事を行うことが推奨されます。
代表的な補強方法には柱や壁の補強(耐震補強)、制震ダンパー設置(制震補強)、免震装置設置(免震補強)などがあります。自治体によっては助成金制度も利用可能であり、費用負担を軽減しながら安全性向上を図ることもできます。
特に築年数が経ったビルの場合は、耐震補強をしっかりとしておきましょう。耐震補強に関する経済合理性はコチラの記事でも紹介しています。よろしければ合わせて読んでみてください。
エレベーター・空調・配管の更新は?設備の老朽化
4つ目の分岐点は、設備機器です。例えば、エレベーターは設置から25年程度で更新時期を迎え、更新費用は1基あたり数百万円から1,000万円程度かかります。また空調設備や給排水配管も20~30年で老朽化し始めるため、適切な時期に交換する必要があります。
これら設備更新は確かに高額ですが、故障リスク低減や省エネ性能向上により長期的にはコスト削減につながります。また、高額だからこそ複数業者から見積もりを取り、適切な業者選定をする必要があります。特にメーカーからの直提案では、かなり高額になります。メーカーに属さない、いわゆる独立系の提案だと複数メーカーのエレベーターに対応できるなど柔軟で、コストも20~50%安くなります。
空調も古いビルだとセントラル熱源方式という空調管理方式をとっているケースがあります。これはビル中央に設置された熱源設備(ボイラーや冷凍機)で全体の空調を管理する方法で、冷水や温水を各フロアに配管で供給します。
ビルの各部屋で同じ時間に同じように空調を使う場合は、この方式でもよいのですが、現代ではリモートワークやフレックスタイム等も導入され、全員がオフィスに同じ時間にいるわけではなくなりました。
そうした時代背景を鑑みると、近年では一般的に使われている個別分散方式の方が効率的に温度調整ができることも多くなっているでしょう。
仮に個別空調方式でも思わぬ落とし穴があったりします。私達は主にワンフロア100坪前後のビルの御相談をお請けすることが多いですが、そうした場合は個別空調方式の場合が多いんです。ただ、個別空調方式でも室外機がものすごく大きいということがありました。
その場合、室外機の入替でクレーンを設置する等、数百万円の見積が出てきてしまうことがあります。だったら空調も含めて室外機も小さく分散させてしまえと、そうするとクレーンなんか必要ないし、見積も家庭の空調設置費用とあまり変わらないコンパクトな値段になります。
こうした設備の更新もちょっとした知恵と工夫で安く、簡単に済ませる方法があります。ぜひ勢いで決めずに計画的に方法を探って、業者選定にもしっかりと取り組んでみてください。
補修と補強。最後に商品価値を高めて長く使われるビルへ
さて、ここまでできていればビル自体は長く使える可能性が高くなります。
最後に、時代の変化と共に変わるテナントのオフィスニーズに合わせたビルの競争力づくり、商品価値を高める魅力づくりです。
築古ビルでも適切なリノベーションによって資産価値を向上させることが可能です。例えば、屋上の活用や水回りの清潔さ、オンライン会議がしやすい会議室づくり等のハード面もあれば、テナントさん同士が交流できるイベントの企画等のソフト面もあります。
鉄筋コンクリート造のビル自体はきちんとメンテナンスをすれば100年でも使えます。更に、テナントから選ばれる魅力的な物件へと生まれ変わらせることで、本当に使い続けてもらえる長寿ビルが産まれます。
私達はこうしたメンテナンス+ビルの魅力づくりをしています。ただ50年100年、ビルが使えればいいというわけではないんですよね。オーナーさんとそのご家族を含めた人生設計にも合わせてビルの活用方法を考えないといけません。
話しにくいこともあるかもしれませんが、私達はそういうビルの活用方法を一緒に考えています。もし気になる点や相談したいビルがある方は、気軽にお問合せをいただければと思います。
築50年でもバリバリ現役!テナワン社が提案した再生事例
築50年を超えた5階建てエレベーター無し、もちろん旧耐震設計基準の古いビルをリノベーションしてオープンさせました。このビルは今でも現役バリバリの人気物件ですが、リノベーションしてテナントさんに入っていただくまで、様々な苦労と工夫があったので御紹介したいと思います。
立地はよく、リノベーションして見栄えもかなり良くなりました。賃料も周辺相場に合わせて、かなり下目に頑張った水準で設定し、仲介会社と一般検討客向けにビルの内覧会を開催したのですが、満足のいく成果にはいたりませんでした。
■リノベーション後
そこでこのビルの新しい魅力を作り、多くの人に知ってもらう手段を探しました。
例えば
- 契約時の敷金や礼金の見直し(リスク管理は慎重な入居審査と保証会社の導入)
- セルフリノベーションを可能に!(事前承諾範囲なら原状回復も必要なし)
- 他の人や複数社でのシェア使用を相談可能に!
こうした新しい魅力は万人にウケるわけではありません。ちょっと変わった面白がってくれる人に届ける方法を見つけないとと頭を悩ませていました。
その為には、ちょっと変わったこだわりや面白さに共感して、見込み客を連れてきてくれる「ちょっと変わった仲介会社さん」を中心に、より濃密にコミュニケーションをさせていただき、私達のビルのちょっと変わったところも魅力として徹底的に取材して写真や文章で伝えてくれもらいました。
さらに、たまたま紹介されたアーティストと『アート内覧会』を開催することになったのですが、これが大当たり!仲介会社や検討客を招待して5日間で100名以上が来場していただき、そのイベントが面白くてネット記事になり、更にその記事をみた大手経済新聞社系列の雑誌記者さんが取材に来てくれる等、新しい拡散の輪が広がりました。
このイベント自体で即決契約!なんてマンガのようにはいきませんでしたが、このイベントが新しい魅力を拡散してくれ、「アート内覧会」から2ヵ月以内にすべての空室は埋まり、冒頭にお伝えした通り、今でも現役で頑張ってくれています!
ビルの魅力は様々です。屋上を使ったり、自転車通勤者用に土間を作ったり、私達も物件毎に頭を悩ませています。また高いお金をかけてリノベすればよい、というわけではなく長いビル経営を見越したポイントを絞ったリノベにすることも重要です。
「ボロいんだよねぇ」「使い道あるのかなぁ?」「魅力なんてないよ」と頭をもたげているオーナーの方がいたら、ぜひ一緒にビルの活かし方を考えてみませんか?ご連絡をお待ちしています。
まとめ
本記事でもご紹介したように鉄筋コンクリート造のビルは、適切なメンテナンスによって100年以上も活躍することが可能です。ただ、そこまで長く使えるようにする為には、外壁塗装と防水工事による「予防保全」は必ずしないといけません。これにより雨水や紫外線からビルを守ることが何より大切です。
この「予防保全」をしていればビル自体は、かなり長い間、利用することができます。
同時に、商業価値としてテナントに選ばれるビルであるためには、耐震補強や設備面の更新も一定程度、必要でしょう。特に築古のビルの場合、耐震基準だけでなく、電気容量や空調設備も現代の需要にあっていない場合も多いというのが、実際にビル経営を生業にしている私達の経験としては多いと思っています。
そうした耐震や設備面は必要な一定ラインを決め、なるべくお手軽な方法でクリアしたいところです。
そして最終的には、時代のニーズに合わせたリノベーションでビルの商品価値を高めることが重要です。本連載でも様々な切り口でビルの新しい魅力を見つけた事例を御紹介しているので、ぜひ他の記事も読んでいただけると幸いです。
築50年を超えるビルでも、適切な投資とビジョンによって新たな魅力を創出できることを、実例でお示ししました。お持ちのビルも、単なる古い建物ではなく、新たな価値を生み出す可能性を秘めています。
私たちテナワンは、そんなビルの活かし方を一緒に考え、次の100年へ向けたパートナーとなりたいと思っています。ぜひ気軽にお問い合わせください。
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