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次世代の働き方とオフィスを考える_33 損して得取れ
次世代の働き方とオフィスを考える_33
損して得取れ
損して得とれという発想。
将来建替えるかもしれない普通の小さいビルを、暫定的に活用してくれないか?という相談をたまにうけます。今回話をもらったのも山手線の駅から徒歩5分くらいのビルでのそんな話です。
1フロア20坪の5階建てなので、セオリーで考えれば各フロア1テナントのマルチテナント貸しにするのがいいように思います。
でも、元々自社ビルとして使っていたので、複数のテナントに貸すには電気設備がフロアごとに完結してなかったり、数年後の将来に(たぶん)建替えるため、余計な投資をかけたくない。なので安くていいから一棟丸ごと借りてくれるテナントを探してくれないか?って(どこかで聞いたような)案件です。
まあ、普通に考えればオーナーはそう思いますよね。建て替えまでの数年間、ほったらかしてても税金がかかるだけだし、せめてそれくらい稼げればいい。でも投資はかけたくない。という気持ちは分かります。でも実際このビルは一棟貸しで半年以上募集していてほとんど問い合わせがなく、どうすればいい?という状態でのご相談です。
コレ、借りる側から見ると、こういう物件は面白そうなんですが結構踏み切るには悩ましいことだらけです。まず、数年後には出てってくれって言われるわけなので投資をかけづらいですよね。仮に相場賃料の半額でOKと言われても、それなりにちゃんと仕上げるには賃料の1~2年分程度のコストがかかるので、3年くらいしか借りれないとすればメリットがほぼありません。
それに、全体で100坪のビルを使い切れるところとなると、それなりの規模の会社になりますので、あまり軽く考えられませんし、転貸事業をのために借りるには短期で回収しなければダメなのでちょっと重すぎます。
それで、ちょっと発想を変えてみました。
どうせ一棟では借手つかないなら、1階をカフェ兼mtgコーナーにしたらどうでしょうか?時間貸し会議室でもいいと思います。
賃貸のセオリーだと、1番高く貸せる1階を?なぜ?という話になりがちですが、これは損して得取れって考え方です。
路面部分が高く貸せると言ってもコレは普通賃貸借で貸せる場合の話ですから、そんなところにテナントが投資をかけて借りるのはハードルが高いですよね。
1階がラウンジ兼会議室になっていれば、上を借りる人のメリットは高くなります。20~30坪くらいを必要とする小さい会社の場合、打合せ用の場所の割合は1/4〜1/3くらいは必要です。ということはその分高く払ってもOKですし、しかも内装投資はいりません。
1階がオシャレに仕上がっていればさらにその分高く払ってもいい人も多いでしょうし、言ってみればこれはシェア/レンタルオフィスを立体的に展開してみた発想です。
それに、1階の目立つ部分に人がいるとビル全体に活気が出ます。活気のあるビルは自然に人を呼びます。なんでもない普通の小ビルがイケてるビルに。結果的にビル全体の価値を上げることに繋がります。
2階以上の階は、電気代とかちゃんとメーターで課金できなくても、月額固定料金制にしてしまえば自社使用の時の設備のままで貸すこともできて、オーナーの投資もほぼ1階部分だけで済みます。
そうやって、ラウンジ兼打合せスペース付の小規模オフィスとして仕上げれば、小さい会社にはとてもありがたい場所になりますし、小さい会社は成長すれば次の場所へ短期で移転する傾向が強いので、借りれる期間が短くてもOKです。
さらに知り合いの会社同士やフリーランス同士でも借りれるように貸方の自由度を高くしてあげれば、借りたい人の間口がとても広がります。
働き方の自由度が高まってきている中、場所を借りることの自由度が高い場所がもっと増えてくるように思います。
(石田)