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次世代の働き方とオフィスを考える_39 永田町GRIDを見た
次世代の働き方とオフィスを考える_39
永田町GRIDを見た
一棟シェアエコノミー
今年2月、永田町に注目のシェアオフィスがオープンした。その名は「Nagatacho GRID」。
代表がシェアリングエコノミー協会の代表理事を務めることでも知られる株式会社ガイアックスが運営している。GRIDは地下鉄永田町駅からほど近い一棟ビルだ。シェアオフィスと呼ぶにはかなり巨大だが、日本の政治の中心という立地にも関わらず、そこには自由が溢れていた。
みどり荘が入居
様々な職業の人々をインタビューした本「WE WORK HERE」という本が最近話題になったみどり荘。表参道などで展開してきたコワーキングスペースだが、GRIDにも施設として入居した。テナントのような形でGRIDの中に存在するスペースなのかと思いきや、GRIDの入居者であれば利用することができるらしく、また、みどり荘の入居者もGRIDの様々な施設が利用できるらしい。
シェアスペースが充実
オープン以来、既に多数の報道がされているので、詳細な施設紹介は省くが、1棟ビルだけに様々なシェアスペースがある。会議室やイベントスペースはもちろん、セミナールーム、ポップアップショップ、シェア自転車、キッズルーム、屋上デッキなど、多岐にわたる。豪華施設と言ってしまえば、これまであった都心のシェアオフィスと差はないかもしれないが、面白いのはそうしたシェアできる施設、設備ひとつひとつに運営者であるガイアックス以外の運営者がいることだ。みどり荘の中でランチ会をオーガナイズする運営者がいたり、屋上でイベントを催すインストラクター、貸会議室や貸スペースの予約サイトなども外部の運営だ。
様々な業種・様々な規模
これだけたくさんのシェアスペースがあると、一人のマイクロビジネスから、数億円規模の企業まで、様々な利用の可能性が広がる。イベントスペースだけで数か所、最大300名が利用できるイベントスペースまであり、10名程度で盛り上がれるバー(貸しスペース)などもある。3-4名で利用できる会議室もたくさんある。第6話でも書いたように、今人気のある施設はオフィスと会議室があれば良いというわけではなく、開発した商品の製品発表、ブランドのシーズンごとのファッションショー、重要顧客のパーティなど、ビジネスの様々なシーンを演出できる施設だ。GRIDのような複合的なシェアスペースのある施設では1人から数人の小規模企業でも、大企業なみの演出をした活動ができるのだ。(全てを自前で準備しなくて良い)
境界が曖昧であること
GRIDを見てびっくりしたのは、物理的、精神的な境界が曖昧なことだ。個室を借りているテナントの中には、入退室のセキュリティが厳密なテナントもいるし、みどり荘のコワーキングスペース内も会員のカードがないと扉が開かない仕組みになっていて、セキュリティが弱いわけではない。しかし、ビル内の様々なスペースをガイアックスの社員や入居者が行き来している上、イベントスペースには外部からの利用者もたくさん来ている。それはまるで、たくさんの市民に利用される公民館のようでもある。
どのスペースにいくら払っているのか、という従来の考え方自体がもはや古臭いのかもしれないと感じた。
(山田)