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次世代の働き方とオフィスを考える_27 直すも地獄、壊すも地獄
次世代の働き方とオフィスを考える_27
直すも地獄、壊すも地獄_ボロッボロマンションの再生物語4
プロもドン引きのボロボロマンションを購入後、どうにか空き部屋を満室にして、管理組合も設立、家賃滞納者や管理費滞納問題も解決。この間約4年。そろそろこの物件をどう仕上げていくか?という段階に来ました。
これまでにもお話したように、僕らは購入価格が安かったことと、その後いろいろ工夫してほぼ満室稼働を達成していましたので十分に日々のキャッシュフローは回っています。急いで売る理由もなければ、絶対に建て替えを実現させないと体力的にシンドい、ということもありません。新築以来ずっと住んでいる人もいるので、強引なこともしたくありません。
そこで、管理組合に働きかけて、「この先どうするのがこのマンションにとって一番いいのか? いろんな形でシミュレーションしてみよう」ということにしました。もちろん僕らはすでにある程度のシミュレーションは勝手にやっていて、ある程度パターン別の結果は見えていたのですが、結論と選択肢だけ提示されても皆さんの納得感がないだろうと思ったからです。
ひとつは、このまま放っておいていよいよ住めなくなるくらい建物の状態が悪くなった場合のケース。これはかなり悲惨で、その時の状態は、他に引っ越す人と、それでも住み続ける人とに分かれて取壊しもままならず、最終的には資産価値がゼロどころかそんな状態では誰も買ってくれないので持っているだけで税金などを払わないといけなくなります。
もうひとつは、気合を入れて建物を改修するケース。これはこれでアリなのですが、これまでロクに修繕してこなかったツケですごい改修費用になります。例えば、改修費用を借入れして10年で返済するとすると、修繕積立金を劇的に値上げすることになるので、むしろそのお金で他の賃貸に引っ越した方が得なのでは?と思えるくらいの結果になりました。
3つ目のパターンは建替え。これは建て替えが決まった時点で売りたい人は売って、売りたくない人は建て替わった後の部屋を再度もらって住めばいいというシナリオです。ただ、このマンションの場合は建替えても特に容積率の緩和があるわけでもなく、従前とほぼ同じサイズの建物しか建てられないので、住み続けたい人は建て替え費用相当分のお金を払わないと前と同じ広さの部屋はもらえないということになります。建て替えというと、どこかのデベロッパーが勝手に建替えてくれて、とてもラッキーなことになるのでは?と期待しがちですが、そんなアマい話はあり得ません。容積率が増えるのであれば建て替えで増えた分を他の人に売って、その利益を還元することもできますが、同じサイズしか建たない場合は解体費用と新築費用、それに事業を行うデベロッパーの利益を差し引いた分しか分配の原資がないからです。ということで、「これも現実的じゃないよね」ということになりました。
(石田)