ブログ / / 2,251
PV
まちづくりはビル再生から始まる_61 街の要素を読む その1 オフィスはリバサイ!駅距離よりも強いウリとは?
まちづくりはビル再生から始まる_61
街の要素を読む その1 オフィスはリバサイ!駅距離よりも強いウリとは?
当社最大の売りは、リーシングマネジメントと呼んでいる空室対策だ。オーナーの味方につき、科学的な分析をもとに対策を打ち、あの手この手で空室を埋めていく。昨今、渋谷や表参道などは、空室が希少で、物件が出ると争うように成約していくと聞くが、当社はそんな好立地の物件は少ない。立地が悪く、何年も空室がつづき、懐の苦しいオーナーさんのご相談にのることがほとんどだ。
でも考えてほしい。本当に立地は悪いのだろうか。高い賃料は狙えないにしてもその土地ならではの需要はないだろうか。当社ではその土地ならではの需要やビル独自の個性を徹底的に見直すことをオーナーにお勧めしている。
当社の管理物件で中央区月島のオフィスビルがある。月島といえば、最近タワーマンションが乱立しており、50階建のマンションが毎年のように新築されていて、月島全体が改造されているかのようだ。しかし、それは住宅市場でありオフィスには関係がない。もちろんこの数年、現場事務所として常に1、2部屋は賃貸していてある意味恩恵に預かってはいるが。仲介業者の意見も築地から川を渡るともうダメ、という意見が大半で事務所の需要などないと言わんばかりだ。
隅田川の眺望が最大の武器
しかしこのビルには最大の武器がある。隅田川のすばらしいリバービューだ。募集チラシのコピーも「オフィスはリバサイ!」である。このコピーを使いだして数年経つが、今ではビル名よりもコピーの方が有名になり、仲介業者からの問い合わせも「リバサイの物件空いてますか?」と聞かれるほど。コピーはもちろん井〇陽水のヒット曲から連想したのだが・・・。
本物件は北側の川に背を向けて建てられているのだが、窓から見える対岸の景色に日が良く当たるので非常に眺望が良い。また、北側が都心なので、川向うの夜景が素晴らしい。東京タワーや勝鬨橋、東京スカイツリーまで一望でき、夕方になると明かりを灯した屋形船が川を行き交い、まるでどこか外国に来たかのようだ。
募集チラシの地図は川を中心に構成し、月島の有名なもんじゃストリートも記載した。駅距離よりも、もんじゃストリートからの距離を強調している。東京の代表的な観光地となったもんじゃストリートは常に修学旅行客や外国人客であふれているが、実は裏通りには長屋を改装したバーやドラマの撮影で使われたような倉庫を改修したスペイン料理屋など、おしゃれなスポットもある。
しかも月島は銀座から車で5分程度、東京駅も10分程度で着くので、マクロ的な視点で見れば都心といえる。そのため、都心で環境の良い場所を好む地方企業が入居することもある。またマンションが多いので、職住近接が可能だ。実際、社長さんの家が近いから、という理由でこれまでも数社入居した。
生活を想像できる物件PRを
さらに隅田川にリバーウォークという遊歩道が続いており、マラソンやサイクリングコースとしての利用をする人も多い。隅田川付近にお住まいの方であれば、毎日朝日を浴びて川沿いを自転車通勤するといった、まるでトレンディドラマのようなシチュエーションも作りだせる。(実際入居者には自転車利用者が多い)
こうしたウリは、オフィスのスペックや駅距離とは違う魅力だ。当社ではお客様が入居した後の生活が想像できるような物件PRを心掛けている。ただ便利な場所よりも、通勤時に春夏秋冬を感じられ、夜な夜な飲みに行ける店が近い、といった感情に訴えかける方が楽しいと思わないだろうか。
(山田)