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まちづくりはビル再生から始まる_60 内覧会は大盛況!アートは人をつなぐ。

まちづくりはビル再生から始まる_60

内覧会は大盛況!アートは人をつなぐ。

ようやく決まった第1号テナントのアートギャラリーは、現代アートを扱うギャラリーで、アートイベントなどを積極的に行い、当社がビルの憩いの場としてウッドデッキを整備した屋上をよく活用してくれた。初夏の風が心地良い時期は屋上に椅子を並べ、ビルの壁に映像を映したり、ビール片手にトークイベントなどをやっていた。

その頃はまだ6室が空いており、募集は苦戦中。空気だけ入れていても仕方がないので、ギャラリーに展示空間として使ってもらえないか、ダメもとで提案した。展示空間というのは窓のない白い空間でなければいけないと思っていたし、作家が展示を準備するには何カ月もかかるので、空室期間中の短期間でやる作家なんているはずないというイメージがあった。しかし紹介された作家はやったことのない空間なので面白い、と言ってくれ、しかも1ヵ月後という短い準備期間で展示してくれるとのこと。

小楼展示(web)

展示は部屋全体に波の映像を投影する作品だったのだが、オフィスなのに水の中にいるようないい気分。昨日まで業者が敬遠していた築50年のボロビルはアートのあるクリエイティブなビルに変身した。結果的に100名以上の来場があり、大盛況となった。ただ90%以上の来場者はアート愛好家かアート関係者で、オフィスを借りる人ではない。しかし、この期間に来た人の紹介やイベントの情報を聞いた仲介業者に印象が残ることで、案内が増えた。当社ではこのことを「打席と打率」と呼び、少数の濃い客の内見よりも濃淡様々な多数の内見客を獲得することに努めている。

このイベントがきっかけになり、クリエイティブな仕事をしているテナントが次々に入居した。アートは人をつなぐようだ。

まず入居したのは有名な若手建築家の設計事務所。18件ものビルを内見したうえで、日本橋小楼に決めたとのこと。他にエレベーターつきで安いビルもあったようだが、どのビルもタイルカーペットでデザイン事務所の雰囲気が出ない。巨大プロジェクトを手掛けることが決まっていたので、取材が増えることが予想され、インタビューを受けた際、見栄えのする本物件のような白いシンプルな内装が理想的とのこと。後日、某有名ビジネステレビ番組がこのビルで取材した。総勢50名ものロケ隊は部屋に収まりきらず、屋上まではみ出ていたことを思い出す。他にもITベンチャー企業、広告代理店、内装工事と設計事務所のシェアオフィスなどが入居し、半年かけて満室になった。

いろいろな苦労があったが、相変わらずクリエイティブ系の業種には人気があり、再募集するとすぐに成約するビルに変貌し、今も満室を続けている。そういえば今度、ビル内で最も素敵にリノベーションされた部屋が空く予定だが、どなたか借りていただけないか?

(山田)

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