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キッチン・カフェスペースがあるオフィス!?実際の事例でみるコストと効果
こんにちは。テナワンの石田です。
最近、オフィスにキッチンやカフェスペースを設ける企業が増えています。弊社でも数多くの物件でこうした取り組みをお手伝いしていますが、実際に導入を検討される際に「具体的にどう進めればいいのか」「本当に効果があるのか」といったご相談をよくいただきます。
今回は、これまでの経験をもとに、オフィスキッチン・カフェの導入について実践的な内容をお話しできればと思います。あくまで個別の事例として参考にしていただければ幸いです。
弊社へのお問合せはコチラからお願いいたします。都内7区を中心に、築古・小規模・様々なビルの様々なご相談に乗らせていただいています。
オフィスのキッチン・カフェスペースが注目される背景
リモートワーク時代の「出社する理由」創出
コロナ禍を経て働き方が大きく変わり、多くの企業がリモートワークを取り入れるようになりました。
その中で「オフィスに来る理由をどう作るか」という課題に直面している企業は少なくありません。
弊社がお手伝いしている企業の中でも、オフィスにキッチンを設けることで「みんなでお昼を食べる楽しみ」や「コーヒーを淹れながら雑談する時間」が生まれ、自然と出社頻度が上がったという事例があります。強制的に出社を促すのではなく、「行きたくなる理由」を作ることが重要だと感じています。
特に若い世代の従業員からは「家で一人で食事をするより、同僚と一緒に食べる方が楽しい」という声を聞くことがあります。
単純なことかもしれませんが、こうした小さな楽しみが出社のきっかけになっているのかもしれません。
従業員満足度とエンゲージメント向上
食事やコーヒーを飲んで一息つく時間は、普段なかなか話さない部署の人とも自然に交流できる貴重な機会です。
弊社で管理している物件のテナントさんからは「部門を超えた会話が増えた」「新しいアイデアが生まれやすくなった」といった声を聞くことがあります。
ただし、これは全ての企業に当てはまるとは限りません。企業の文化や従業員の志向によって効果は変わってくるため、導入前にしっかりと現状把握をすることが大切だと思います。
採用競争力の強化
人材不足を耳にするようになって久しいですが、採用にお困りの企業様も多いと思います。
特に若い世代の求職者は、働く環境を重視する傾向があるように思います。そのなかでオフィス環境は重要な判断材料の一つになっています。
弊社がお手伝いした企業の中には、オフィス見学の際にキッチンスペースを見た候補者から「こういう環境で働きたい」という反応をいただいたという事例もあります。もちろん、これだけで採用が決まるわけではありませんが、企業の魅力をアピールする要素の一つになり得ると考えています。
実際に採用活動で使用している企業資料を見せていただいたことがありますが、オフィス環境の紹介ページで、キッチンスペースでの社員の様子を掲載している企業も多くありました。
オフィスのキッチン・カフェスペース導入の具体的効果
コミュニケーション活性化による組織力向上
普段デスクワークが中心で部門間のやり取りが少ない企業では、キッチンスペースが異なる部署の人々をつなぐ役割を果たすことがあります。
例えば、弊社で管理している物件のある企業では、お昼時にキッチンで偶然居合わせた社員の方が、何気ないコーヒータイムの雑談から普段は聞けない現場の課題について話をするようになったそうです。その結果、新しいプロダクト改善のアイデアが生まれたという話を伺いました。
リラックスした環境では、普段とは違う発想が生まれやすいと言われています。実際に、コーヒーを淹れながらの何気ない会話から、新しいプロジェクトのヒントを得たという事例も聞いています。ただし、これは意図的に作り出せるものではありません。自然な形でこうした交流が生まれる環境を整えることが重要だと思います。
福利厚生費の最適化
従来の食事補助制度と比較した場合、オフィスキッチンには異なるメリットがあります。個別に食事代を補助する場合と比べ、共用スペースとしてのキッチンは、コスト面でも効率的な場合があります。
弊社でお手伝いした企業の中には、月々の食事補助予算をキッチンの運営費に充てることで、より多くの従業員にメリットを提供できたという事例があります。ただし、これは企業の規模や従業員の利用頻度によって大きく変わるため、慎重な検討が必要です。
初期投資は必要ですが、長期的に見ると従来の福利厚生制度よりもコスト効率が良い場合があります。特に、従業員の定着率向上や採用コスト削減まで考慮すると、投資対効果は大きくなる可能性があります。
ある企業では、従来月20万円程度の食事補助費用を支払っていたところ、キッチンの運営費が月15万円程度に収まり、さらに利用者数も増加したという結果が出ています。単純な費用比較だけでなく、満足度の向上も含めて効果を実感されているようです。
空室率改善とテナント満足度向上(オーナー向け)
ビルオーナーの立場からすると、オフィスキッチンは他の物件との差別化要素になり得ます。弊社で管理している物件の中には、共用キッチンを設けることでテナント誘致に成功した事例があります。
特に、スタートアップ企業やクリエイティブ系の企業からは好評をいただくことが多いです。ただし、業種や企業規模によってニーズは異なるため、ターゲットとなるテナント層を明確にすることが重要です。
快適なオフィス環境は、テナントの定着率向上にもつながります。弊社で管理している物件では、キッチンスペースを利用する企業の契約更新率が高い傾向にあります。もちろん、これだけが理由ではありませんが、従業員満足度の向上が結果的に企業の定着につながっているのではないかと考えています。
実際に賃料改定の際に、キッチン付きの物件は相場より若干高めの賃料設定でも受け入れていただけるケースがありました。付加価値として認識していただいているのかもしれません。
弊社ではビルを「ビルの空室を借上げ、オーナー様の費用負担ゼロで改修」というサービスを提供させていただいています。もしご興味いただけるようでしたら気軽にお問合せください。
オフィスのカフェ・キッチンスペース導入方法別の特徴とコスト比較
オフィスのカフェ・キッチンスペースの設置タイプ別の検討
壁面を利用したカウンター型は、比較的省スペースで設置できます。弊社でお手伝いした第2二葉ビルでは、中央にキッチンカウンターを設置することで、周囲に自然な交流スペースが生まれました。
初期費用は比較的抑えられる一方で、同時に利用できる人数には限りがあります。小規模から中規模のオフィスに向いていると思います。設置スペースも3〜4平米程度から可能で、既存レイアウトへの影響を最小限に抑えられます。
広いスペースがある場合は、アイランド型のキッチンも選択肢に入ります。複数の人が同時に利用でき、よりカフェらしい雰囲気を演出できます。
ただし、設置には相応のスペースと初期投資が必要です。また、給排水の工事も大規模になる傾向があります。
本格的なキッチン設備は設けず、コーヒーマシンや簡単な調理器具を置くカフェコーナー型もあります。初期投資を抑えつつ、まずは小さくスタートしたい場合に適しています。弊社でお手伝いした企業の中には、カフェコーナーからスタートして、利用状況を見ながら段階的に設備を充実させた事例もあります。
運営方式の選択肢
自社で運営する場合、コストを抑えやすく、社員のニーズに柔軟に対応できるメリットがあります。一方で、食材の調達や衛生管理、清掃などの運営負荷がかかります。
弊社がお手伝いしたテイショク西麻布では、定期的な清掃は外部業者に委託して年に1-2回の大掃除はイベントのように社員総出で行っています。
専門業者に委託する場合、運営の品質は安定しますが、コストは高くなる傾向があります。規模が大きく、継続的な運営が前提の場合は、外部委託も有力な選択肢だと思いますが、そうではない場合は「基準となる清潔感のレベル」を決めて、維持管理していくシンプルなルールと運営体制を作っていくのが良いと考えています。
初期投資と運営コストの目安
小規模なカフェコーナー(10名程度利用想定)の場合、初期投資は50万円〜100万円程度から可能です。中規模のキッチン(30名程度利用想定)では200万円〜400万円、本格的なキッチン設備では500万円以上になることもあります。
ただし、これは設備や内装のグレードによって大きく変わります。また、電気工事や給排水工事の規模によってコストが大幅に変動する場合があります。
投資回収を考える際は、直接的なコスト削減だけでなく、従業員満足度向上による離職率低下や採用コスト削減も考慮することが重要です。弊社でお手伝いした企業では、従来の食事補助費用との比較や、会議室レンタル費用の削減(キッチンスペースでの打ち合わせ増加)なども含めて投資効果を評価しています。
運営コストについては、月額5万円〜20万円程度が目安となることが多いです。これには光熱費、消耗品費、清掃費用などが含まれます。利用人数や提供サービスの内容によって大きく変動するため、事前の試算が重要になります。
オフィスにカフェ・キッチンスペースを導入する実践的な手順とポイント
カフェ・キッチンのオフィス導入前の現状分析
導入を検討する際は、まず従業員のニーズを把握することが大切です。アンケートやヒアリングを通じて、現在の昼食事情や、どのような設備があると嬉しいかを確認することをお勧めします。
弊社でお手伝いした企業では、「コーヒーを飲みながら打ち合わせをしたい」「簡単な軽食を作りたい」「リフレッシュできる空間が欲しい」といった声が多く聞かれました。
現在のオフィスレイアウトの中で、どの部分をキッチンスペースに転用できるかを検討します。使用頻度の低い会議室や、デッドスペースになっている箇所を活用できる場合があります。ただし、動線や騒音の影響も考慮する必要があります。集中して作業するスペースから離れた場所に設置することが望ましいです。
初期投資だけでなく、運営コストも含めた総コストで予算を設定することが重要です。また、段階的な投資も検討の余地があります。最初は必要最小限の設備でスタートし、利用状況を見ながら設備を充実させていく方法もあります。
設計・工事段階での注意点
キッチンスペースは多くの人が利用するため、動線設計が重要です。他の業務に支障をきたさないよう、アクセスしやすい場所に設置することが大切です。
弊社でお手伝いした物件では、エレベーターホールから近く、かつメインの執務エリアからは少し離れた場所にキッチンを設置することで、利便性と静寂性を両立できました。
キッチンやカフェスペースでの雑談や息抜きを目的とするなら執務スペースとの適度な距離感も必要になるかもしれません。
キッチン設備には、通常のオフィス以上の電気容量や給排水設備が必要です。既存の設備で対応できるか、事前に十分な確認が必要です。特に古いビルの場合、電気容量が不足していることがあります。弊社で管理している物件でも、電気工事が想定以上に大規模になったケースがありました。
キッチンスペースは水や油を使うため、清掃しやすく、汚れに強い内装材を選ぶことが重要です。また、食品を扱うため、衛生的な材料を選択する必要があります。見た目の良さだけでなく、メンテナンス性も考慮することをお勧めします。
運営開始後の管理体制
スムーズな運営のためには、明確な利用ルールが必要です。利用時間や清掃の分担、食材の持ち込み方法などを事前に決めておくことが大切です。
弊社でお手伝いした企業では、「使ったら綺麗にして次の人へ」というシンプルなルールを基本に、細かい規則は最小限に抑えています。
食品を扱うスペースは、通常のオフィス以上にこまめな清掃が必要です。日常清掃と定期的な深清掃のスケジュールを決めておくことをお勧めします。また、設備のメンテナンスも重要です。特に給排水設備や換気設備は、定期的な点検が必要です。
導入後は、設定した目標に対してどの程度の効果があったかを測定することが大切です。利用頻度や従業員満足度調査などを通じて、継続的に改善を図ることをお勧めします。
オフィスにキッチン・カフェスペースを設置した事例と実践ノウハウ
テイショク西麻布(オフィス)のキッチン事例
テイショク西麻布では、建物の屋上スペースも活用して定期的に入居テナントさんと集まって交流イベントを開催しています。
限られたスペースでも工夫次第で活用の幅が広がることを実感しています。強制ではなく、参加したい人が参加するという自然な形で続いています。
先日も夏のひと時を皆でたこ焼きパーティをしながら、夏祭りのような楽しい時間を過ごしました。
この制度のポイントは、負担を感じない程度に簡単にしていることです。凝った料理を作る必要はなく、簡単な食事でも十分にコミュニケーションのきっかけになっています。
この制度を通じて、普段あまり話さない部署の人との交流も生まれています。仕事の話だけでなく、プライベートな話題も含めて、より深い人間関係が築けているように感じます。
都心のオフィスビルの中心にキッチンカウンターを設置した事例
ある都心のビルでは、フロアの中央にキッチンカウンターを設置しています。これにより、キッチンを中心とした自然な交流スペースが生まれています。
カウンター周辺にはハイテーブルとスツールを配置し、立ったまま軽食を取ったり、コーヒーを飲みながら打ち合わせをしたりできるようにしています。
このスペースは、集中作業とは異なるリラックスした環境を提供しています。気分転換をしたい時や、クリエイティブな発想が必要な時に利用する人が多いようです。
テナント企業からは「オフィスにいるのが楽しくなった」「チーム内のコミュニケーションが活発になった」といった声をいただいています。契約更新の際にも、こうした環境を評価していただいています。
実際に、このキッチンカウンターでの偶然の出会いから、新しいビジネスアイデアが生まれたという話も伺いました。異なる企業の社員同士が自然に交流する場としても機能しているようです。
オフィスの1階をカフェや飲食店としてオープンしてしまおう!
弊社で管理している物件では、1階にカフェや飲食店に入っていただくことが多いです。
既存の内装を活かしながら、必要最小限の工事でカフェとして機能するよう工夫したり、建築基準法や消防法への対応など、物件によって少しずつ工夫を凝らしていますが、概ね好評をいただいていると思います。
大きな窓を活かして開放的な雰囲気を演出し、外からも中の様子が見えるようにしています。これにより、通りがかりの人にも親しみやすい印象を与えています。
通りすがりの人にビルを知ってもらい、そこから上階のテナント区画を知っていただくこともありますし、1階に賑わいがあるとビル全体にも活気が出て内覧時もご好評頂けることが多いと思います。
皆さんも体験がある方がいらっしゃるかもしれませんが、待ち合わせ等が暗くて静まり返っているビルだとちょっと落ち着かない気持ちになったりしませんか?
1階がカフェや飲食店で賑わいがあると、そんな雰囲気も手伝って訪れてくれる人たちも明るい気持ちになってくれるんじゃないかと思っています。
また、1階にカフェや飲食店があるメリットは上階のオフィステナント様にもあって、オフィスにずっといるよりもちょっと気分転換に違った雰囲気の場所で仕事したりすると思った以上に捗るようです。
お店側も上階で働くテナントの方々に適度に使っていただけるので安定した利用があり、「カフェや飲食店」「テナント」「ビルオーナー」にとって三方良しな空間として使っていただけているととても嬉しい気持ちになります。
オフィスにカフェやキッチンスペースを導入する際の課題と解決策
カフェやキッチンの利用率が上がらない場合の対処法
キッチンスペースの立地が悪く利用率が低い場合、レイアウト変更を検討することもあります。
弊社でお手伝いした企業では、より動線上の良い場所に移設することで利用率が向上した事例があります。
提供するサービス内容が従業員のニーズと合っていない可能性もあります。定期的にアンケートを実施し、求められているサービスを把握することが大切です。
せっかくの設備も、存在を知らない人がいては活用されません。社内イベントと連携したり、新入社員研修に組み込んだりして、周知を図ることも効果的です。
利用のきっかけ作りとして、月に一度「キッチンデー」のようなイベントを開催している企業もあります。みんなで一緒に料理を作ったり、持ち寄りパーティーを開いたりすることで、普段利用しない人にも興味を持ってもらえるようです。
運営コスト増加への対応
自社運営の場合、特定の人に負担が集中しないよう、当番制にするなどの工夫が必要です。弊社でお手伝いした企業では、部署ごとにローテーションを組むことで負担を分散しています。
また冷蔵庫などを設置する際には食材や調味料の賞味期限と調達量を適切にコントロールし、無駄を減らすことも重要です。
利用予測を立てたり、余った食材を活用するレシピを共有したりする取り組みもあります。
一度に全ての設備を揃えるのではなく、利用状況を見ながら段階的に充実させていく方法もあります。必要性が高いものから順次導入することで、投資効率を高められます。
電気代や水道代などの光熱費についても、使用量を定期的にチェックし、無駄な消費がないか確認することが大切です。タイマー付きのコンセントを使用したり、節水シャワーヘッドを取り付けたりすることで、ランニングコストの削減につながります。
衛生管理・安全対策
食品を扱う以上、適切な衛生管理が必要です。規模によっては食品衛生責任者の配置も検討する必要があります。日常的な清掃・消毒のルールを明確にし、従業員全員で守ることが大切です。特に共用の調理器具や食器については、使用後の清掃を徹底する必要があります。
食物アレルギーを持つ従業員への配慮も必要です。使用する食材の表示や、アレルギー対応の調理器具の分離など、安全対策を講じることが重要です。
冷蔵庫の温度管理や、食材の保存期限チェックなど、基本的な食品安全管理も欠かせません。月に一度、衛生管理チェックリストに基づいて点検を行っている企業もあります。
万が一の食中毒などのリスクに備えて、保険の加入も検討しておくとよいでしょう。また、緊急時の連絡体制や対応手順も事前に決めておくことが大切です。
まとめ
以上、オフィスキッチン・カフェの導入について、これまでの経験をもとにお話しさせていただきました。
実際の導入にあたっては、それぞれの企業や物件の状況に応じた個別の検討が必要です。
従業員のニーズや企業文化、予算や物理的制約など、考慮すべき要素は多岐にわたります。
もし具体的な検討をされている場合は、お気軽にご相談いただければと思います。私たちの経験が、少しでもお役に立てれば幸いです。
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