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まちづくりはビル再生から始まる_42 相続対策大作戦
まちづくりはビル再生から始まる_42
相続対策大作戦
今回は久々に不動産コンサルタント的な話を。
いま、古いクライアントの相続税対策プロジェクトを進めています。
だいたいのシナリオはこんな感じ。
・ビルが建ってる土地の一部を売却したお金で収益物件を購入
・元々のビルは長男に相続
・買った収益物件は他のお子さん2人に区分登記して相続
・元のビルは築古なので耐震補強+もろもろリノベして収益アップ
・土地の売却資金だけでは不足なので戦略的に借入れしてレバレッジかける
本文とは関係ありません。福井の再生中ビルが新聞に掲載されました!
最初、「いっそ築古のビルを建て替えたい」というオーナーさんの希望もあったのですが、「どう考えても直して使い続ける方がトクです!」と説明して改修することになりました。
だって、建替えの場合は改修の3倍くらいの建築費をかけるだけでなくて、テナントさんに退去してもらう移転費用に建替え中の機会損失(もらえるはずの賃料がもらえなくなる分)を計算すると、4倍くらいのイニシャル費用をかけて、せいぜい賃料は2割増し程度。
「でも借入れすると相続税も安くなるんでしょ?」
よく言われる言葉ですが、確かに相続税「は」安くなります。
でも借金「も」残ります。
4倍の費用をかけても賃料はそんなに伸びず、30年以上かけて返済している間は手に残る現金はむしろ減ってしまう・・。
返済が終わったころには築30年のビルが残る、という計算ではやはり合理性がありません。
今より大きいものが建つとか、お隣の土地を買ってより効率的なものにするとかでなければ、今のビルを直して使い続ける方がよほど経済合理的です。
それと、この手の相談の時にいつも説明するのが、「次の代にどう公平に分けるか」「売って納税資金にあてるモノと、次の代も賃料を稼いでもらうモノとを事業仕分けするべき」「売るモノは売りやすく、稼いでもらうモノはより稼いでもらうように戦略的に投資しましょう」というハナシです。
今回も、「でも古い(いつ建て替えるかわからない)建物にこんなにお金かけるなんて」と、どうしても心理的な抵抗がありましたが、「この先20年は稼いでもらう建物への投資は、ヘタな金融商品買うよりよっぽど利回りがいい」ということを数字で見てもらってようやく納得していただきました。
僕らは新築反対、リノベ至上主義ではありません。
(最近築古物件をイジりすぎて、趣味としても楽しんでやってはいますが笑)
でもきちんと、メンテナンスと価値向上のための建物への投資をすることは、社会損失の回避とともに第一にオーナーさんのトクのためにももっと見直されるべきだと思ってます。
(石田)