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まちづくりはビル再生から始まる_38 青山のスタジオ集積ビル
青山のスタジオが集積したオフィスビルの御紹介
長く賃貸管理させてもらっている青山の小型オフィスビル。ここはなぜかスタジオがたくさん入居してくれています。5フロア中3フロアがスタジオ。写真撮影のところもあれば、芸能界デビューを目指してがんばってる卵たちの練習&撮影のスタジオも。
青山なので、スタジオが入っていてもおかしくはないんですが、スタジオではスチール撮影等で「自然光の入り方」や「引きの写真が撮れる」ことが物件選びで重要視されます。
この青山のスタジオは、1フロア20坪のビルなので「引いた絵を取りたい」というニーズには応えられませんし、天井高も高くないのでそんなにスタジオ需要があるとは思っていませんでした。
でも3方窓で「自然光で撮れる」ことがウリになるんだそうです。そういうもんなんですね。。
青山のスタジオ集積ビルが利用される工夫
そのスタジオテナントさんと先日いろいろと話し込んでお話を伺ってきたのでご紹介させてください。
ここの青山スタジオの内装はホントにステキなんです。
天井などはラフな仕上げだが・・スケルトンにして高さを出しています。
スタジオは白を基調とされていて、これはやはり撮影的に主張しすぎないなどバックとして都合がいいからなんですが、
「壁も白。でも施工の精度より質感の方が大事。」
「ビニールクロスは論外だけど、白ならいい、んじゃないんですよ」
「ストロボの反射のときチョット色が混ざるとか光沢があるのは邪魔でね」
「コンセントとか空調とか、邪魔なものは映らないように微妙に位置を考えてるんですよ」
プロですね、さすが。
この中で、話が盛り上がったのが、
サッシまわりはモクで加工して細部にこだわっていいます
「施工精度より、質感」というオハナシ。すごく同意です。
青山という立地でスタジオに求められる「自然光」や「天井の高さ」を出す為に、借りる側のニーズをしっかりと汲みとっています。
こだわり・とがりのある物件集客のポイント
最近は借りる側のニーズも細分化すると共に仲介サイトもかなり細分化してきています。
「天井スケルトンの物件」
「居抜き専門の物件」などなど
大手の仲介サイトだと検索条件だけの勝負になってしまい物件1つ1つの魅力を十分に伝えるのが難しい。検索をかけてざっと並んだ物件からパッと見で条件に合った物件を探していく。
効率はいいかもしれませんし、そのユーザー行動に応えることも大事なのですが、こういう物件ではもう1歩踏み込んで魅力を伝えたい。
こうした「質感」にこだわり、特定のニーズにしっかりと応えてくれている物件は、その魅力をしっかりと伝えてくれる専門の仲介サイトに掲載するのも有効です。
彼らは興味を持ってくれると実際に取材に来て、写真を撮って物件を丁寧に紹介してくれます。
全部ではないかもしれませんが、経験上、そういう姿勢を多く見てきました。
物件の持つ魅力をしっかりと伝える。そして細分化したけど具体的なニーズに届ける。
そうすることで着実にテナントさんに知っていただく打席と打率を上げ、集客につなげることができるようになっていきます。
テナワンのリノベーションの考え方
僕らも古いビルをリノベーションする時、隅々までキチっと仕上げようとするとトンデもないことになるんですよ。だったら全部壊して作り直した方が早い、みたいな。
でもカチっとしてノッペリした空間よりも、味になるザラついた塗装とか、途中まで解体して止めてる方が歴史を感じるんならその方がいいよね、とか、古いビルにはそれなりの仕上げ感があると思います。
「おざなりに電気配線されてりゃいいでしょ、みたいのはNG」
「水回りはむしろ、オシャレは下着からみたいなのを分かってほしい」
ていうような話は最近ようやくわかってきました。
「質感」「空間の雰囲気」
深いなあ。。
(石田)