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まちづくりはビル再生から始まる_5 建物はいずれ古くなる
まちづくりはビル再生から始まる_5
建物はいずれ古くなる
前回まで、不動産の活用というものについてオーナーさんの視点から考えてみました。
ちょっと視点を変えて、今度は不動産、特に建物としてのビルをどう活用するか、という観点で書いてみます。(住宅の再生に取り組んでる人は多いので、あえてビルで)
建物はいずれ古くなります(当たり前ですが)。世の中右肩上がりの時は需給バランス的に貸し手有利で少しぐらいビルが古くなっても借りたい人がたくさんいました。
このブログでも何度か書いてますが、ビル(特にオフィス)の需要はおよそGDPに比例すると考えられます。他にも働く環境をよくするために一人当たり面積が増えるなどの要素はありますが、オフィス自体はそこでお金を産まないコストなので景気が悪くなれば当然そこにかけるお金を減らそうとするからです。
店舗ビルの需要はオフィスと違いますが、やはり景気が悪いと賃料の安いところに移転したりしますので市場全体の賃料総額は減ることになります。
バブル期以降、ビルの賃料は一時を除きほぼ下がり続けています。日本のGDPが伸びてないことに加えて、その間もビル建設が続いたので当たり前ですね。
GDPの大半が内需だとすれば人口減少傾向の中、今後大幅にビル需要が改善するとは考えにくいように思えます。
まして建物は当然に古くなって新築ビルには見劣りしますので、相対的な商品力も低下します。周辺エリア内の一等地を除けば建てた瞬間から周りの競合ビルとの戦いに巻き込まれるもんだと思っておいた方がよさそうです。
じゃあ古くなった建物は賃料を下げ続けないとテナントが入らないんでしょうか?
何もしなければそうなります。
よく「このビル建て替えようと思うんだけど、どう思う?」
と銀行や建設会社が作った想定収支表を見せられるんですが、ほとんどのものは建物への追加投資が収支に組み込まれていません。壊れた部分だけ修繕していれば同じ賃料で満室が続く前提で作られてます。
これってちょっとコワいと思いませんか?
(石田)