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まちづくりはビル再生から始まる_1 不動産の活用について考える
新しいテーマでシリーズを書き始めようと思います。
「まちづくりはビル再生から始まる」
昨年のビル再生100の物語に続き、これも今年100話書き続けます(笑
なぜビル再生からまちづくりが始まるのか?
これまでいろんなビルに携わらせていただきました。
古い、小さい、ボロ、元倉庫、木造、地方物件などなど、その度に知恵絞って汗かいて、どうにかこうにかカタチにしてきたのですが、単体でその物件だけ考えるよりも周辺エリア全体まで考えて再生プランを考えた方がビルも周辺もテナントも幸せだよな、と思います。
また、「関係者以外立ち入り禁止」って従来のビル運営の常識よりも、周辺の人も気軽に立ち寄れて楽しめるようなシカケがある方が結局ビルもうまくいく、と思います。
そういう意味で、ビル再生とまちづくりって繋げて考えた方がいいよね、という意味でちょっと範囲を広げたハナシを書いていきたいと思います。
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まちづくりはビル再生から始まる_1
不動産の活用について考える
で、第一回ですが、不動産の活用というものについて、これまでにツラツラ考えてきたことのまとめ的なものを書いてみようと思います。
ビルの再生ではもちろん、まちづくりの観点でも主役の一翼を担うのは不動産オーナーです。
ほかにはそこに入居するテナント(そこで事業するお店も)、再生をしかけるプレイヤーなどですが、オーナーさんの気持ちが向かなければ第一歩が始まらないので。
個人オーナーでも(セミ)プロでも、不動産を有効に活用して稼ぐ、という観点では本質は同じなのですが、ここはあえて個人オーナーの視点で考えることにします。だってプロは稼げばいいだけですが、個人オーナーはそれだけじゃない要素があるのでよりフクザツだからです。
個人オーナーにとっての不動産といえば、稼ぐ以外になんといっても相続税対策!ほかには先祖代々の歴史や思い入れなどもあって、デジタルに稼げばいいというわけではありませんよね。もちろん、ファンドみたいに「最後は売却して終わり」ということも稀です。
一方で、長く建物を使い続けていると当然古くなってきて競争力は落ちるわ、修繕費もかさむわ、空室に悩むわといろいろ心中オダヤカではいられません。
「昔はねえ、上場企業の支店がずっと入っててくれたのよ」なんて話も今は昔。半年も一年も空気しか入ってないってビルも珍しくないですし、賃料で生活どころか固定資産税と管理費が重荷に。
なんでこんなことになったんでしょうか?
答えは簡単です。そりゃ、30年もデフレが続けば賃料も下がりますし、企業も個人も出費を押さえようとより安いところに移転します。
かたわらで不動産開発は止まるどころか増える一方。床が増えて経済はデフレ。少子化も加わって需給バランスが崩れたからです。
オーナーにしてみれば、そんなマクロ経済の話より自分のビルやアパートにだけ入居者が入ってくれれば問題は解決!ですよね。でも結局この大きな流れをムシしてはこれからの不動産経営は道をあやまることになります。
それと、「古い建物を建て替えれて相続税対策を」という銀行や税理士のアマいささやき。これもよくよく考えてみてください。確かに借入れすればその分相続税評価額は下がります。償却も増えるのでキャッシュフローも改善していいことずくめ!に思えますよね?
でも、借りたカネは返さないといけません。それに大抵の場合途中で金利が上がることを計算に入れずに収支を提案されます。バブル時代を思い出してみてください。銀行の借入金利が8%や9%だった時代がありました。相続税は減っても借金は残ります。よっぽどの一等地で、しかも建替えたら容積が大幅アップなんてことでもない限り、そんな長期に安定的に稼働して、かつ今より大幅に稼げるってことはありえません。だってバブル期以降ずっと賃料は下がってるんですから。
なんか読んでて暗い気持ちにさせちゃいましたね。すいません。
次回は、じゃあそんな状況でどうしたらいいか?を考えてみたいと思います。
(石田)