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RC造(鉄筋コンクリート構造)ビルは耐用年数としてどれぐらい?実際のビル寿命と築50年を超えても活躍できる事例

こんにちは。テナワンです。

最近「うちのビルは築50年を超えているので、そろそろ建て替えを考えないといけないのでしょうか」といった御相談をいただくことが増えました。

確かに、建築費が高騰し続けており、新築ビルの建設コストは大幅に上昇しています。また、働き方の変化により築古ビルの空室対策に頭を悩ませるオーナー様も多く、「このビルはあと何年使えるのか」という不安を抱えるのも自然なことです。

そこで今回は、RC造ビルの耐用年数について、法定耐用年数と実際の物理的耐用年数の違い、そして日本最古のRC造ビルの事例を御紹介したいと思います。

加えて、建築費高騰が続くなかで「RC造ビルの長い耐用年数を活かしたリノベーションによる商品価値向上」の価値や可能性を弊社事例を用いながら一緒に考えていきたいと思っています。

それでは詳しく見ていきましょう。

RC造(鉄筋コンクリート構造)ビルの耐用年数は?強度の高さとビルの活路

RC造(鉄筋コンクリート構造)ビルの耐用年数とは

RC造ビルの耐用年数を考える際には、まず「耐用年数」という言葉の意味を知っていただく必要があると考えています。

多くのビルオーナー様が「耐用年数=建物の寿命」と考えがちですが、実際には税務上の取り扱いとして設定された期間であり、建物が実際に使える期間とは異なります。

ここでは、RC造ビルの“法定耐用年数”について詳しく見ていきましょう。

耐用年数とは|通常の効用持続年数のこと

耐用年数とは、正式には「法定耐用年数」といい、減価償却の計算に使われる年数のことです。

事業を行うにあたって所有する建物などの資産は、購入時に一括で費用計上するのではなく、決められた年数で分割して毎年費用を計上します。

この「決められた年数」が法定耐用年数です。

たとえば、5,000万円のRC造ビルを購入した場合、法定耐用年数が47年であれば、47年にわたって毎年約106万円ずつ減価償却費として計上できます。

この仕組みにより、建物を所有するオーナー様は毎年の利益から減価償却費を差し引くことができ、納税額を適切に調整できるのです。

法定耐用年数は減価償却資産の耐用年数等に関する省令(国税庁)」によって、資産の種類や構造、用途ごとに詳細に定められています。

これは税務上の公平性を保つためであり、各事業者が自由に耐用年数を設定してしまうと納税額に影響を及ぼしてしまうからです。

重要なのは、この法定耐用年数はあくまで税務上の数字であり、「通常の効用持続年数」を示すものであって、建物の実際の寿命を表すものではないということです。

RC造の耐用年数|最も長い50年

RC造の建物の法定耐用年数は、用途によって異なります。

事務所用のRC造ビルの場合、法定耐用年数は50年と定められており、これは主要な建物構造のなかで最も長い年数です。

参考までに、他の構造の事務所用建物の法定耐用年数を見てみましょう。

木造は24年、れんが・石造は事務所用で41年、店舗用だと38年です。

これらと比較すると、RC造の50年という法定耐用年数が長いことはお分かりいただけるかと思います。

また、RC造でも用途によって法定耐用年数は変わります。

事務所用は御紹介したように50年ですが、住宅用は47年、病院用は39年、飲食店用は34年とされています。

これは、建物の使用状況や劣化の進み方が用途によって異なることを考慮したものです。

こうした法定耐用年数は、減価償却の計算には欠かせない数字ですが、ビルオーナー様が本当に知りたいのは「このビルはあと何年使えるのか」という実際の寿命のはずです。

次の章では、RC造ビルの実際の寿命について見ていきましょう。

RC造の耐用年数|平均で68年、100年もつことも

前章では、RC造ビルの法定耐用年数が47年であることをお伝えしました。

しかし、実際にはRC造ビルはもっと長く使い続けることができます。

法定耐用年数と実際の寿命は異なるということを、具体的なデータとともに見ていきましょう。

 国土交通省|RC造ビルの期待耐用年数

国土交通省がまとめた資料「期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について」によると、RC造建物の平均寿命に関するいくつかの研究結果が示されています。

出典:国土交通省(https://www.mlit.go.jp/common/001011879.pdf)

建築学の第一人者である小松幸夫氏の2013年の研究「建物の平均寿命実態調査」では、RC造の平均寿命は68年とされています。

また、飯塚裕氏の1979年の研究「建築の維持管理」では、RC造の平均寿命は117年とのデータも示されています。

これらの研究結果から分かるのは、RC造ビルの実際の寿命は法定耐用年数の47年を大きく上回るということです。

適切な設計と定期的なメンテナンスを行えば、RC造の建物は100年以上使い続けることも十分に可能なのです。

実際に、日本各地には築90年以上経過しても現役で使われているRC造ビルが数多く存在しています。

これらのビルは、建物の構造そのものが頑丈であることに加え、時代に合わせた適切なメンテナンスを継続してきた結果、長く使い続けられているのです。

RC造ビルの耐用年数を伸ばすにはメンテナンスが重要

RC造ビルの寿命を左右する最大の要因は「メンテナンス」です。

どんなに頑丈な構造のビルでも、長年の風雨や日差しにさらされれば少しずつ劣化していきます。

特に外壁や防水、鉄筋の状態が重要で、定期的な点検と早期補修が欠かせません。

外壁塗装は、使用する塗料によって耐用年数が異なります。

アクリル系は経済的ですが3年から5年程度で劣化が始まり、シリコン系は約11年から13年、フッ素系は11年から15年と長持ちします。

中小ビルオーナー様には、コストパフォーマンスに優れたシリコン系がおすすめとされています。

防水工事も非常に重要です。

10年から15年サイクルでの実施が一般的で、屋上や外壁のひび割れを放置すると雨水が浸入して鉄筋を腐食させ、深刻な構造劣化を引き起こします。

漏水が発生してからでは内部に大きなダメージが生じている可能性もあり、修繕費用は数倍に膨らんでしまいます。

RC造の強度の秘密は、鉄筋とコンクリートの組み合わせにあります。

コンクリートは圧縮に強く、鉄筋は引っ張りに強いという特徴があり、この二つを組み合わせることで高い強度を実現しています。

しかし、コンクリートの中性化が進むと、鉄筋を保護する機能が失われ、鉄筋が錆びて膨張し、コンクリートにひび割れが生じてしまいます。

こうした劣化を防ぐためには、定期的な点検と予防保全が何よりも大切です。

問題が小さいうちに対処すれば、修繕費用も抑えられ、ビルの寿命を大きく伸ばすことができます。

日本最古のRC造ビル|横浜三井物産ビル

RC造ビルが実際にどれだけ長く使えるのかを示す象徴的な建物が、横浜の日本大通りに佇む横浜三井物産ビルです。

このビルは1911年の竣工から110年以上経った今も現役で使われている日本最古の鉄筋コンクリート造オフィスビルです。

当時としては革新的だった全鉄筋コンクリート構造を採用し、1923年の関東大震災では多くの建物が倒壊するなか、無傷で耐え抜き、その耐震性の高さを実証しました。

このビルが長く使い続けられている理由は、堅牢な構造に加えて適切なメンテナンスが継続されてきたことにあります。

外壁塗装や防水の更新など予防保全を適切に行えば、築70年、80年はもちろん、100年を超える利用も十分可能であることを、このビルは私たちに教えてくれています。

RC造ビルは、法定耐用年数の47年を大きく超えて、適切なメンテナンス次第で100年以上使い続けることができる建物です。

この長い耐用年数をどう活かすかが、ビルオーナー様にとって重要な経営判断になるのではないでしょうか。

 建築費高騰のなかでRC造はリノベ再生を検討したい

前章では、構造ごとの耐用年数の違いについて見てきました。
ここでは、建築費高騰が続くなかで、RC造ビルのリノベーション再生が“重要な選択肢になる理由”を一緒に考えていきたいと思います。

建築費の高騰は続いている

近年、建築費の高騰が続いており、ビルオーナー様にとって建て替えのハードルは年々高くなっています。

建築資材の価格上昇、人手不足による人件費の高騰、そして円安の影響などが重なり、新築ビルの建設コストは10年前と比べても大幅に上昇しています。

特に鉄筋やコンクリートといったRC造ビルに必要な資材の価格上昇は顕著で、同じ規模のビルを建てるにも以前よりはるかに多くの資金が必要になっているのが現状です。

また、建設会社の人手不足も深刻化しており、工期が長くなる傾向にあります。

工期が長くなれば、その分の人件費もかさみ、総工費はさらに膨らみますし、テナント収入が入らない期間も伸びますのでビル経営という意味では、より建て替えという判断はしにくくなっていると思います。

こうした状況のなか、既存のRC造ビルを建て替えるのか、それともリノベーションで再生するのかは、ビルオーナー様にとって重要な経営判断になります。

建築費が高騰している今だからこそ、既存のビルが築古でも見た目が悪くても、新しい価値を見出して、適切な投資をしながら長く使い続ける選択肢が重要になっていると私達も日々の事業のなかで感じています。

RC造の建物は耐用年数を活かした商品価値向上を考えたい

RC造ビルは、前述のとおり法定耐用年数が47年、実際には100年以上使い続けることも可能な建物です。

この長い耐用年数は、建築費高騰のなかでRC造ビルが持つ大きな強みといえます。

建て替えには多額の費用がかかりますが、リノベーションであれば建て替えの数分の一のコストでビルの商品価値を大きく向上させることもできます。

たとえば、外観のリニューアル、共用部の改修、水回りの刷新、屋上やテラスの活用など、テナント企業が求める魅力的な要素を付加することで、築古ビルでも十分に競争力を持つことができるのです。

また、リノベーションには建て替えにはないメリットもあります。

工期が短いため、テナント企業への影響を最小限に抑えられること、建て替え期間中の家賃収入がなくなることを避けられること、そして何より既存のビルの骨格を活かせることなどです。また、ご家族から相続として引き継いできた建物は愛着や思い入れがあるオーナーさんも多いと思います。リノベーションであれば、そうしたオーナーさんの思いも残しながら新しい価値を吹き込むことを一緒に考えていくことができるのも私達は大切にしたいと考えています。

特にRC造ビルの場合、構造体そのものは非常に頑丈で長持ちします。

問題があるのは設備の老朽化や内装の古さ、テナント企業のニーズに合わない間取りなどです。

これらはリノベーションで十分に解決できる課題であり、構造体を活かしながら現代のオフィスニーズに合ったビルに生まれ変わらせることができます。

現在のようなオフィス需要の変化のなかでは、単に新しいだけでは選ばれません。

フリーアドレス化に対応できる広い空間、テレワークとの併用を前提とした柔軟な使い方ができるレイアウト、インターネットやパソコンワークに応えられる電気容量や通信設備、屋上やテラスなどのリフレッシュスペース、そして何より他のビルにはない個性や魅力が求められています。

リノベーションは、こうしたテナント企業のニーズに応えながら、ビルの商品価値を高める有効な手段なのです。

弊社事例|中央区の築50年越えのRC造ビル

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実際のリノベーション事例として、築50年を超えた中央区 御徒町のビルについてご紹介したいと思います。

結論から先にお伝えしますと、築50年を超えていますがバリバリの現役物件として活躍してくれています。

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ただ、このビルでも50年以上経っているので電気容量が足りないとか、当初はパッと見て古さを感じるとか、そういうことはありました。

ポイントに絞って内装を綺麗にしたり、設備を入れ替えたりすると、こうしオープンの時には古さや不人気とは、大きく違うビルに生まれ変わります。

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このビルも最初にお伺いした時はこんな感じで歴史を感じる物件です。

 

私たちテナワン社は、こうしたビルの商品価値向上のための企画検討を専門としております。

築古RC造ビルの活用方法や、リノベーションの方向性についてお悩みの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

まとめ

ここまで、RC造ビルの耐用年数について、さまざまな角度から見てきました。

最後に、本記事の要点をまとめたいと思います。

RC造ビルの法定耐用年数は50年ですが、これはあくまで減価償却の計算に使われる税務上の数字であり、建物の実際の寿命を示すものではありません。

国土交通省の資料によれば、RC造建物の平均寿命は68年以上、適切なメンテナンスを行えば100年以上使い続けることも可能とされています。実際に、横浜三井物産ビルのように110年以上経った今も現役で使われているRC造ビルが存在することが、その証明といえるでしょう。

RC造ビルの寿命を左右する最大の要因はメンテナンスです。外壁塗装や防水工事といった予防保全を定期的に行い、コンクリートの中性化や鉄筋の腐食を防ぐことで、ビルの寿命を大きく伸ばすことができます。

他にもビルの状況や状態によって、ポイントを絞ったメンテナンスも重要ですので気軽に診断等、ご相談いただければと思います。

一方で、建築費は年々高騰しており、新築ビルの建設コストは大幅に上昇しています。このような市場環境のなかでは、既存のRC造ビルの長い耐用年数を活かし、リノベーションによって商品価値を高めることが重要な選択肢になります。

リノベーションは建て替えの数分の一のコストで実現でき、工期も短く、テナント企業への影響を最小限に抑えられます。また、テナント企業が求める魅力的な要素を付加することで、築古ビルでも十分に競争力を持つことができるのです。

ただし、どのようなリノベーションを行うべきかは、ビルごとの立地や特性、商圏、そして現在のオフィス需要によって異なります。

単に設備を新しくするだけでなく、テナント企業が本当に求めているものは何かを見極め、それに応える魅力づくりが必要です。

私たちテナワン社は、中小オフィスビルの経営コンサルティングを専門としており、ビルの借上げからリノベーション企画、サブリースまで一貫してサポートしております。

特に築古RC造ビルの商品価値向上や、リノベーションの方向性についてのご相談を多くいただいております。

「うちのビルはあと何年使えるのか」「建て替えとリノベーション、どちらを選ぶべきか」「どのようなリノベーションを行えばテナント企業に選ばれるのか」といったお悩みがございましたら、ぜひお気軽にテナワン社までお問い合わせください。

RC造ビルの長い耐用年数は、ビルオーナー様にとって大きな資産です。この強みを活かして、時代に合わせた魅力的なビルづくりを一緒に考えていきましょう。

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