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事務所の空室対策!厳選アイディア13選|中小ビルのリノベーション事例も紹介

空室は、不動産のオーナーや管理者にとって大きな悩みです。

弊社も御相談をいただくことは多く、「内装をちゃんと直し始めるとキリがないので、安くそのまま借りてくれる人いないかしら?」等、様々な御相談をいただいています。

空室で収入が途絶えさせたくはないし、ビルの維持管理費用もかさみます。ただ、追加の費用負担はなるべく避けたい。ただ空室のままだとビルが人の気配を失っていき、新しいテナントを惹きつける力も弱まっていきます。

そこで本記事では、オフィスビル賃貸運営のプロが、弊社(テナワン)でのリノベーション事例と併せて中小ビルの空室対策を御紹介します。

テナントが入らなくて空室にお困りのオーナー様や不動産業の方は、ぜひ最後までご覧ください!

空室対策が重要である3つの理由

不動産市場において、中小ビルオーナーが直面する最大の課題の一つは、空室率の管理です。
空室対策が重要である3つの理由を説明していきます。

キャッシュフローが安定する

空室対策が需要な理由は、収入を確保し、キャッシュフローを安定させることができる点にあります。

空室があると収入が途切れ、経営が不安定になってしまいます。

逆に、テナントが入っていれば、定期的に家賃収入が入り、経営の基盤が安定します。収入が安定すると、突発的な出費があっても対応しやすくなり、ビルのメンテナンスや改善にも投資できるようになります。そのため、キャッシュフローを安定させる空室対策は、経営全体の安定にも繋がると言えます。

 

ビルの評価価値を維持できる

ビルが満室に近い状態を保てると、そのビルが安定した収入源を有していると見なされてビルの評価が上がるからです。

ビルにテナントが常に入っている状態は、投資家や買い手にとって魅力的なサインです。これは、物件が経済的に健全であること、そして投資のリスクが低いことを示しています。

したがって、空室率を低く保つことは、ビルの市場価値を維持し、将来的に売却や再投資を検討する際に有利な条件を作り出すことに繋がります。

 

ビルの安全性が高まる

空室が多いと、不審者の侵入や犯罪のリスクが増えることがあります。活気がなく人通りが少ないビルは、不審者や犯罪者にとって格好のターゲットになりがちです。

しかし、空室対策をしっかり行うことで、このようなリスクを大きく減らすことができます。

テナントが入っているビルは人の出入りが多く、自然と監視の目が増えます。その結果、不審者や犯罪者が近づきにくくなり、ビルの安全性が高まるのです。だから、空室対策は安全面でのメリットも大きいといえます。

ビル空室対策のアイディア①金銭ハードルを下げる

空室対策として、敷金や礼金、更新料の見直しを考えてみることが大切です。これらのテナントが負担する費用を安くすることで、テナントが入居しやすくなります。
それぞれ詳しく御紹介しますね!

 

敷金や礼金を下げる

敷金や礼金を抑えると入居時のハードルが下がります。特に、規模の小さい会社や起業したての会社は俄然借りやすくなります。

「なんだ、そんなことか」という前に、次の調査結果を見てください。

<新宿区で実際に対策した物件周辺の、敷金3カ月以下の募集物件数>
・50~100坪の物件:約236物件の募集物件のうち26物件(約11%)
・25~50坪の物件:約438物件の募集物件のうち30物件(約6%)
・10~25坪の物件:約500物件の募集物件のうち177物件(約35%)
(REINS上に登録されている物件:2024/3/28 当社調べ)

このように、現在でも礼金あり・償却ありのビルも多くあり、敷金・礼金を見直すことで応募者数の増加を見込めます。10~25坪の物件では30%以上の物件が敷金アリとなっています。

「敷金3カ月以内」での絞り込み検索が可能なインターネット仲介会社のサイトもあるので、敷金・礼金の設定を変えるだけで検索結果に表示させて、競合よりもテナントに見つけてもらいやすく(打席数UP)することが可能です。

より詳細な弊社の実際の事例をもとにした空室対策技術集はコチラからご確認ください。

 

中小ビルへの入居を検討されるテナント企業さんは、企業規模が小さかったり、自ら起業したオーナーが最終判断者であることも少なくないでしょう。そういう経営者の視点から見ると、なるべく1度に支払う費用をおさえたいというのも本音です。

これは返ってくるはずの敷金でも同じです。中小ビルの検討客は、金融機関から金利を払ってお金を借り、事業をしています。「金利がつかないのに資金を寝かせている」敷金の額には非常にシビアです。

こうした空室対策としては、テナント側のリアルな視点に立ち、思い切って敷金の額を下げ、礼金、償却も無くすことを検討して見ることも効果的です。

更新料をなくす

更新料も同様で、更新料を安くするか無くすか検討してみてください。更新料を見直すことで退去率を下げることができ、空室対策につながります。

実際にテナントさんと会話すると「更新料を払うぐらいなら、もっと立地や設備のいいところに引っ越せる」という話は、実際によく耳にします。貸す方もシビアですが、借りる方も現実的な懐事情を鑑みながら「少しでも条件の良い物件」を検索しています。

先ほども申し上げた通り、中小ビルを検討されることが多い企業規模が小さいテナント会社さんや自ら起業したオーナーさんは、将来的なコストも入居時にしっかりとチェックされることが多いです。

検索結果や紹介される回数等、テナントの目につく回数を増やすだけでなく、物件を横並びにして比較した時に入居を決める一押しとして有効な一手になるので、敷金や礼金・更新料等の金銭面のハードルを下げる検討をしてみてくださいね。

ビル空室対策のアイディア②内見映えで成約率UP!

テナントの検討対象に上がる階数を増やす方法の次は、内見時にテナントに物件を魅力的に見せることが契約率をUPさせる空室対策として非常に効果的です。

「内見映えがしない」状況を変えるための改修は、あまりお金をかけずにできます。演出次第では、建物の古さを「味のある」見せ方にすることも可能です。

まずは、内見の時に検討客が意外に見ているポイントを書き出してみます。

■検討客が意外に気にする部分はここだ!
・エントランスが暗い、電球がチカチカしている
・色の合わない床マット、しかも無造作に斜めに置かれている
・自販機が存在感ありすぎ
・ポスターやお知らせ等が壁に直貼りされている
・トイレ(特に女子トイレ)が和式、薄暗い、鏡がみずぼらしい等など

他にも沢山あります!より詳細な弊社の実際の事例をもとにした空室対策技術集はコチラからご確認ください。

 

こうした「実は見落としていた…けど検討客が内見で気にするポイント!」はたくさんあります。

それぞれはさほどお金をかけなくても手直しできるものばかりです。

ここでは、特に効果的な改善が見込まれる5つの改修ポイントを、過去のリノベーション事例をまじえて解説していきます。

エントランスや共用部分を綺麗にする

エントランスや共用部が雑然としている物件は、ココを綺麗にしてみてください。

ビルのエントランス全体をリノベーションするには費用がかかりますが、ビルのサイン(案内表示)だけを変えるだけなら、低予算で洗練された雰囲気にすることができます。壁のタイルを張り替えなくても、塗装するだけで外観が見違えます。

また、ビルのサインを目立たせたり、インパクトのあるものに変えたりするだけで、ビル全体がおしゃれに、デザインされた空間に見えるようになります。

人は第一印象が約3秒で決まり、第一印象が良ければ初対面の相手でも好意的に会話が進み、良いイメージを抱いていれば、その後もその相手と接点を持ちたがる傾向にあります。

これを心理学では初頭効果といい、最初に提示した情報が印象として強く残るとされています。

物件も同じで、エントランスは内見時に物件の第一印象を決める重要な部分です。実際に「エントランスに入った時の第一印象が悪い物件は、80%の人が決めない」という仲介会社がいる程です。

逆に言えば、エントランスを綺麗にオシャレな雰囲気を作っておくことで第一印象を上げ、成約率を上げることができます。

さらに、共有部分も内見時に物件の印象を決める重要な部分です。例えば、共用部の廊下にアートを飾ることで、なにげない廊下の風景が一変し、雰囲気がよくなったためにビルの稼働率があがり空室対策につながった実例もあります。

物件の第一印象を決める重要なポイントですので、是非検討してみてください。

照明器具を変える

照明器具を変えるだけでも大きく雰囲気を変え、内見映えする建物にできます。

内見映えのために、清潔感の回復は必須ですが、もう少し工夫して「建物は古いけど味がある」「暖かみがあってステキ」など内見時の印象をプラスにしましょう。

照明器具の変更は、費用の割に内見映え効果が大きいのでおすすめです。

寒々しい印象になりがちな蛍光灯の白い光から電球色に変えたり、スポットライトを効果的にあてるだけで雰囲気が一気に変わります。

また、「事務所だから蛍光灯にしなければならない」という思い込みを捨て、シャンデリアやデザイン照明を利用することで、雰囲気のある空間を作り、内見者に良い印象を与えることができます。

壁の色を変える

共用部の壁の色づかいを変えることも物件の雰囲気を大きく変えることができ、内見映えの効果を上げて空室対策につなげることができます。

たとえば、壁の色を一面だけアクセントカラーにするなど、部屋全体をカラーコーディネートすると無機質な印象が一変します。

実際に壁の色を変えて空室対策ができた過去の事例もあります。もともと住宅をオフィスに転用した物件では、壁の色を変え、部屋全体のカラーを統一しました。壁の一面だけアクセントのある色にしたところ、改装してからひっきりなしで問い合わせをいただけるようになりました。

ワンポイントの工夫でも大きな効果を得られる場合があります。実際の配色や「ワンポイント」をどこにするか、は物件によってチェックさせていただき、判断が必要なところではあります。

トイレなどの水回りを綺麗にする

トイレなどの水回りは内見の印象にとても大きな影響を与えます。そのため、トイレ等の水回りをリノベーションするのは空室対策に有効な一手です。

掃除は行き届いていて、扉の塗装も塗り直してあって手入れはされている。ただ元々の内装が古くて、どこか寒々しい印象をどうしても感じてしまう、という場合は検討していただきたい空室対策です。

全面的にリノベーションしなくても、ポイントをおさえて修繕すれば、十分な効果が期待でき、大きな費用もかからないので検討しやすい施策です。

弊社では、予算の制限のために女子トイレだけを一部リノベーションをして、雰囲気を改善した事例があります。

男性にとってはトイレでも、女性にとってはお化粧直し等で滞在時間が長い空間です。その分、雰囲気や使い勝手を気にするのも女性の方が多いのではないでしょうか。

物件の特徴や商圏、内見にお越しになられている方によっても「どのポイントに絞り込むか」「絞ったポイントでどこに手を入れるか」で1つ1つの空室対策の効果も違ってきます。

グリーン(植物)を置く

ここまでの施策もポイントを絞って大きな費用を必要としない空室対策ですが、より「コストを抑えて」という意味では、グリーン(植物)を置くことを検討してみてください。

大規模なリノベーションは難しくても、たとえばエントランスにグリーンを設置するだけで華やかな雰囲気に変えられます。リースグリーンの導入をすれば、定期的にメンテナンスをしてもらえますし、季節にあった植物に入れ替えてもらうこともできます。

ビルのエントランスサインでも御紹介しましたが、エントランスを綺麗にすることで第一印象を良くして、ビル全体への心象を良くすることもできます。

もっと予算がない時に、バルコニーにグリーンとテーブルを設置し、アウトドアの会議スペースを提案した事例もあります。内見の期間だけグリーンをリースすることで、低コストで効果的な印象アップができます。

もしエントランスや共用部をはじめ、内見映えによる空室対策を検討されている方は、是非、お問合せください!

ビル空室対策のアイディア③テナントの利用条件を柔軟にする

テナントとの契約条件を「一般的」な内容から踏み込んで柔軟にする空室対策もあります。

新しいテナントのニーズを捉えたり、テナントが物件を検索する目線に立って「物件を候補にあげる」あまりない取組みだと思います。

実際に弊社で行った事例をもとに、当初は予期していなかったポジティブな効果が生まれた事例も併せて御紹介しますね。

セルフリノベーションを可能にする

あまり検討されていない利用条件として、「セルフリノベーション(入居者が自ら行うリノベーション)可能な物件」としてテナントを募集するという方法があります。

最近は「自分で個性のある内装にしたい!」という人が増えています。規模の小さな会社でもDIY等を含めて、自社のカルチャーや雰囲気をオフィスでも表現したい、というニーズが増えており、実際にベンチャー企業のオシャレなオフィス紹介などを見たことがある方も多いのではないでしょうか?

弊社では「内装も改修する時期だけど、まだもう少し先にしたい」という物件の御相談をいただいた際に、「好きに改装してOK。原状回復もしなくてOK」と”踏み込んだ”条件で貸し出してみた結果、大好評だったケースがあります。

また、こうした変わった貸し方を提示したことで、クリエイティブな職業の人々向けに「ちょっと変わった物件」を紹介している「ちょっと変わった仲介会社」にも物件を取り上げてもらうことができました。

「普通の仲介会社」を通じても接点が持てなかった、「クリエイティブ志向の方々」にも物件の情報を見てもらうことができたのです。

一方で、こうした条件変更には私達も「トンデもない内装にされたらどうしよう?」と当初は不安を感じていたことも事実です。

そこで「あまりに奇抜な改装の場合は普通に貸せる状態に戻してもらう」約束を取り決めてから、セルフリノベーションを始めていただきました。

その結果、蓋を開けてみると、まったくの杞憂だったことが分かりました。

考えてみれば、テナントのみなさんは「それぞれが考えるカッコいいオフィス」にしたいと思ってやるわけですから、元の内装状態に比べたらダンゼン恰好よく使っていただいています。これなら将来その入居者が退去した場合でも、そのまま他にはないカッコいいオフィスとして募集することも可能です。

それにもともとは「そろそろ改修が必要かな」と思っていたわけですから、もし気に入らなければ、解約退去後にオーナーさんが改めて内装改修の費用をかけても損はありません。

貸し方の工夫だけで「借りやすさ」を高め、これまで接点がなかったターゲットにも注目されることができますので、試してみる価値が高い方法です。

広い区画を小さく間仕切りする

広い区画の物件を小さく間仕切りすることで、空室対策をすることができます。募集面積が変わると検討客の層も変わりますし、多くのテナントにアプローチできる有効な手段です。

新宿の分譲マンションの低層階に位置するビル区画での興味深い事例では、空室対策として区画を区切って募集する方法の有効性を示しています。

オーナーさんからの御相談では「2年間テナントが決まらず、内見のお客さんもほとんど来ない」というお話でした。周辺の競合ビルと比較しても坪当たりの単価は安いにも関わらず、物件の柱の存在感が障害になっているようです。

広い区画の物件を借りるテナントさんは、ある程度の事業規模の会社であることが想定されます。

「分割して募集する」のがいいのか?等、色々と検討した結果、『2分割の準備だけをしておき、ワンフロアを使用する可能性のあるテナントに対しても同時に募集を行う』ことにしました。競合や商圏を想定しながら、テナントの立場にたって検討した施策が大切になります。

募集開始後、小さい区画を希望するお客さんがすぐに見つかり、当初の予定通りスピーディーに間仕切り工事を行い、引き渡すことができました。

残りの区画もほどなくして決まり、結果としては大成功となりました。

シェアオフィスにする・シェア使用・同居を認める

貸し方を変えることでも空室対策になります。たとえばシェアオフィスです。特定の区画を決めずに多くの人が利用するシェアオフィス等は、これまでの常識にはなかった貸し方ですね。

シェアオフィスにしなくても、積極的にシェア使用や同居を認め、これまでのビル運営の常識では考えにくかった貸し方で商品性を変えることができます。

「シェアOK」等の貸し方も「借りやすさ」を高めるために有効です。入居者が他の人と部屋をシェアして使用することを積極的に認める方法です。

最近では、共用部の一部を入居者が共同使用できる会議スペースにしたり、コピー機やインターネット、調度品などを予め用意している、「シェアオフィス」という新しい形態も出てきていますが、これらとは根本的に違います。

シェアオフィスは入居者に様々な場所やモノを共同で使っていただきますので、オフィスの賃貸とは違って施設運営者としての運営パワーが相当に必要です。

対して、ここでの「シェアOK」とは単に専用室をシェア使用することを認めるだけです。あくまで、借主は特定の入居者であり、他の人がシェア(同居)することを貸主が認めるというだけのもので、いわゆる「同居契約」と変わりません。

通常貸主は、いろいろな人に同居を認めた結果、いつのまにか知らない人が部屋を使っていた、などという事態が起きることを非常に嫌います。悪質な「占有者」が不当な権利を主張することもあり得るからです。

実際の運用上は、下記のような手当てが必要ですが難しいことはありません。

・賃貸借契約で使用責任について取り決める
・各同居人ともきちんと覚書を取り交わす
・同居人が勝手に増えたり、知らない会社名が掲示されていないか管理する

ちなみに、仲介会社は入居後の同居人の手当ては基本的にやってくれませんし、慣れていない会社だと「何かあったらリスクが高いからやめた方がいい」と言われるかもしれません。(オーナーさんが自ら管理されるか、お困りの場合はご相談ください。)

起業したての人たちや、デザインやIT関連の仕事をしている人たちなどは、2~3人の小単位、もしくは一人で仕事をしている人たちも多くいます。このような方たちは普段広いオフィスは不要なのですが、プロジェクト次第で仕事仲間とチームを組んで働くといったことが日常的に行われています。

「シェア(同居)OK!」は、そういう人たちに注目される可能性が高まります。「ここの貸主さんは、シェアに理解がある」と感じれば親しみもわくでしょう。

ビル空室対策のアイディア④ライバルと差別化する

空室対策のアイディアとして、ライバルと差別化することは重要です。

とはいえ、単に目立てばいいという意味ではありません。オリジナルな魅力付けにもちょっとしたコツがあります。

時々、なんだかよくわからない物件が話題になっていることがあります。「うちとは関係ない」と見過ごしてしまいがちな、そういうマニアックな物件でも、話題になるには何か理由があるものです。自分のビルには応用しづらいことかもしれませんが、世の中の兆候と捉えれば見方が変わってきませんか?

住宅の例ですが、シェアハウスの話題は数年前からじわじわ兆候がありました。「シェアハウス?何それ?どうせ一部の物好きのためだけのものでしょ」というのが当時の大方の見方だったと思います。(私自身がそうでした)その頃に、今のような大きな社会現象になると予想していた人は少なかったと思います。

ところが今や大手資本の会社が手掛けたシェアハウスが話題になり、大会社も自社物件の有効活用方法として注目するなど社会現象化しています。

何も流行をいち早く見極めて先取りするべきだ、と株価予想みたいなことをお勧めしているわけではありません。話題になっている物件を、自分のビルに応用できるようなことはないか?という視点で注意して見ていただきたいのです。

そして、ご自分のビルで取り入れることが可能かどうか検討してみてください。「他の物件で聞いたことがない」「常識とは違う」と思うことがあれば、むしろ他社では採用しにくい方法ですので大きな差別化のチャンスです。

アート内覧会を開く

話題性のある内覧会を開くことで、メディアの露出が増え、空室が埋まることがあります。

弊社の事例ですが、アート内覧会を開いたことがあります。

アートの作品展示と、物件の内覧会をあわせたものですが、このアート内覧会は大盛況を迎えることができました。小さなビルの内見に102名もの人が訪れたのです。

首都圏では似たような物件も多く、ただの条件検索だけでは注目を集めることも難しいことが多いでしょう。

この企画では、当初、成約につながるかは懐疑的だったものの、後日に地元のWeb新聞に取り上げてもらい、その記事をみた大手経済新聞社系列の雑誌記者が取材を申し入れてくれました。問い合わせが増え、アート内覧会の2ヵ月以内にすべての空室は埋まりました。

集客やPRにつなげる仕組作りに工夫は必要ですが、こうしたライバルがやっていない取組みを通して、物件を知ってもらい、空室対策につなげることもできます。

屋上をウリにする

屋上を活用し、屋上をウリにすることで、空室対策となります。

屋上に木製デッキをひいてベンチを置くだけで、魅力的なスペースのできあがりです。管理上の問題で屋上を開放していないビルがほとんどなので、他と差別化できますし、内覧にお越しいただいた会社の印象に残る物件になります。

とある人気仲介サイトでは「屋上がある物件」という検索カテゴリがあるくらいです。

弊社では実際にこういうスペースを活用して、テナントさんとビアパーティーをしたこともあります。また定期的なヨガ教室として活用いただく際に利用いただく等、用途を限定して利用いただけば「管理上の問題」もクリアできる場合があります。

屋上を利用した体験を物件の売りにしてライバルと差別化するだけでなく、物件を知っていただく切り口を増やし、注目を集めることができます。

空室対策の具体的な手順は?

それでは、空室対策のために具体的にどのような手順をふめばよいのか、弊社で検討する際の手順を例に御紹介したいと思います。

周辺の競合調査をする

まずは、周辺の競合ビルの募集条件やビルの特徴を調査しましょう。

特に、以下の点については詳しく調査していきます。

・募集賃料
・開始から何カ月ぐらい募集を続けているのか
・設備状況(トイレは男女別か等)
・共用部や内装の改修はしているのか

こうした情報は実際にビルや商圏を歩いたり、オーナーさんにヒアリングすることも含めて調査していきます。

市場調査をもとに賃料を決める

事前調査をもとに、賃料を決めます。

一坪あたりの実力値を分析し、どのくらいの賃料なら空室がうまりそうか判断します。

「広い区画を小さく間仕切りする」でも御紹介したように、借りてくれるテナントさんを具体的に想定しながら、どの程度の広さで賃料なら借りやすいのか?逆言えば一定の商圏のなかで、どこがネックで借りられていないのか?を考えていきます。

賃料だけではなく、敷金や礼金・更新料なども比較していきましょう。想定するテナントの目線を持ち、借りやすく、使い続けやすい金額設定を考えていきます。

テナントさんが気持よく、長く借りてくれることが、ひいては空室率を下げてオーナーさんへの還元につながる為、双方の目線を持って短期・中期・長期でみた金額設定がキモになります。

予算に併せたリノベーションを検討する

金額が決まると競合となる物件が見えてきます。

競合物件と比べて、貸し出すビルのリノベーションを予算にあわせて検討していきます。なんでも綺麗にできるわけではない場合が多いので、競合物件に比べて「選ばれる理由」を予算のなかで作っていくことが大切です。

ここでも想定するテナントの目線を持ち、「こういう特徴があったら借りやすいな」「ここは清潔感を作らないと敬遠されてしまうな」等を見極めつつ、予算のなかでできるリノベーションを考えていきます。

競合となる物件と想定するテナントさんのニーズを元に検討することで、リノベーションといっても本記事で御紹介したように、エントランスやお手洗いの一部等、対象を絞った案が出てきます。

時には植物を配置する等、低予算でもビルを魅力的にする方法を検討していきましょう。

ビルの認知度をあげる

最後にビルの認知度をあげる広報活動に力を注ぎます。

ビルの存在や募集条件、リノベーション工事を行ったことなどを認知してもらえるよう、目立つ資料を作ります。多くの仲介会社に資料を持参し、検討客の紹介を依頼します。同時に、周辺ビルのテナント向けに募集資料を配布し、建物の中を見てもらえるように内覧会を企画・実施します。

本記事でも御紹介したように、物件の検索条件に乗せる工夫も大切です。「セルフリノベーションOK」や「屋上利用可」等、テナントさんが検索する検索条件を元に、物件の認知度を上げる切り口を定めます。

こうして打席数を増やしていくことで確実な空室対策につなげていくことができます。

反響が思わしくなければ改善する

「色々と施策は実施したけど、芳しくない」という時は、要因を整理して改善策を検討することが大切です。

認知が足らないのか?認知はあっても内見にきていないのか?内見は来ているが成約につながらないのか?どこでつまずいているのかを整理して、改善していくことが大切です。

打席に立てていないのか?打席には立っているがヒットが打てていないのか?

言ってしまえば簡単なのですが、自社の物件のこととなると冷静に見極めるのは難しいことが多いです。

本記事で御紹介した空室対策のアイディアや実績の他にも様々なサポートをさせていただいています。もし中小ビルの空室対策でお困りでしたら、気軽に弊社にお問い合わせください。

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