中小ビル100の物語 / / 2185
PV
#7
物語7/古い内装を逆手にとった空室対策の事例
港区の女性投資家、Kオーナーさんから、賃貸経営の代行をご依頼いただいた時のお話です。
ビル再生100の物語_7 内装の古さを貸し方の工夫で満室にした事例
そのビルは築50年、建物はあちこち古い状態でした。
ちなみに、Kオーナーが買う前は、前のオーナーが自分の会社のオフィスとして使っていたそうです。
Kオーナーは、前のオーナーの会社が退去したそのままの状態で購入。
内装もこんな感じでした。
20坪と小ぶりで立地も悪くないので、リノベーションすれば人気が出そうな物件なのですが、
「内装をちゃんと直し始めるとキリがないので、安くそのまま借りてくれる人いないかしら?」
よくいただくご相談ですが、これ実は結構厳しいお話です。
検討客は素人なので、「好きに中を変えてくれてもいいよ」と言われても、キレイになった状態を想像できませんし、「お金かかりそうだし」と敬遠する人がやはり多いからです。
この「お金かかりそう」には、最初の内装工事費と、解約の時の原状回復費用の2つの意味を含みます。
実はこの物件、リノベーション物件や古いけど特徴のある変わった物件ばかりを扱う、とある仲介会社から紹介された案件でした。
その仲介会社の提案で、
「好きにセルフリノベーションできて、「原状回復不要(オーナーが認めた部分に限る)。しかもオーナーが内装補助金を出します」
として募集したところ、結構な人気案件に。
特に、原状回復不要と内装補助金が効いたようです。
テナントさんがこんな感じにリゾート風に改装して入居してくれました。
こちらのテナントさんはいい感じの床に変えています。
古いPタイルと白い壁と天井だけだった殺風景な部屋も、
「バーにしたい」と契約してくれたテナントさんがこんなにステキな内装にしてくれました。
将来また空室が出ても、以前のサムい内装より断然こちらの方が募集しやすそうですよね。
結構なウラワザですが、最近の住居物件では積極的にセルフリノベーションを推奨&原状回復不要をうたっているものが人気になったりもしています。
オフィスでもそういう流れが起こりはじめています。
やみくもに原状回復免除がいいわけではありませんが、きちんと入退去時にどこまで直してもらうのか(もらわなくていいのか)をちゃんと管理して、契約書に写真や図面などで細かく規定することができれば、自分で内装をリノベーションしたい層に向けた空室対策が可能になります。
(石田)