中小ビル100の物語 / / 1979
PV
#5
物語/5不良テナントに喝っ!
港区の、とあるビルオーナーさんから、賃貸経営の代行を任せてもらった当初のお話です。
ビル再生100の物語_5 不良滞納のテナントを正常化
「今も2か月も滞納してて、催促しても一部しか入れてこないんだよね」
「さらに以前のテナントは、滞納がひどくて出てってくれって最後裁判になったんだけど、ウチも商売やってるからねえ。ウチの母さんなんか裁判のたんびにゲッソリしちゃって」
オーナーさんの本当の悩みはテナントの滞納への対応が本当に煩わしい、ということでした。
わかります、その気持ち。
我々だって、賃貸運営代行の仕事で一番イヤなのは滞納督促ですから。
払わないテナントが悪いのに、電話すると逆ギレされたり、居留守使われたり、こっちも人間なのでやっぱりメゲます。
でもそんなこと言ってたらプロではありませんので、ここはひとつ気合を入れました。
実際、ほとんどのテナントさんは入金が遅れても、忙しくて振込に行けてないだけだったり、大したことはありません。
でも、1か月以上遅れているテナントは要注意(「滞納督促マニュアル!?」参照)です。
忘れてた、って範囲を超えてますし、資金的に厳しいのに2か月(この場合は3か月)分もいきなり払えるワケがないからです。
最悪の場合は裁判に訴えて明渡し命令を勝ち取るしかありませんが、訴訟費用も時間もかかりますし、まずはテナント本人に連絡です。
(我々は、ビルの管理者としてのオーナーさんの窓口役です。非弁行為に抵触しない範囲でしか交渉できませんので)
※最終的には訴訟ですが、時間もお金もかかります
「家賃、いつ払ってくれるんですか?」(僕ら)
「うるさいな、月末までに10万(家賃の半分)とりあえず払うよ。貸主にはいつもこれまでそれで納得してもらってたんだから」(相手)
電話がつながるだけマシでしたが、これはもう完全にナメてます。
「それでは仕方ありませんので連帯保証人さんに払ってもらいます」(僕ら)
「ちょっ、なんで保証人のとこ行くんだよ!」(相手)
「だってあなた滞納してるでしょ?本来ならもう契約解除ですよ」(僕ら)
こんなやり取りの末、保証人さんのところに。
こういう場合、まず保証人さんは滞納の事実を知りません。
カッコ悪いのでテナント本人が報告してるわけないですよね。
このケースの場合は、保証人がテナントの社長の大先輩だったということもあって、本人は保証人に連絡されるのが相当にイヤだったようです。
出張がちで忙しい保証人さんにようやく連絡を取ると、最初憮然としていましたが、状況を丁寧に説明するとわざわざ謝りに来ていただき、
「とにかく本人に払わせるか、私が立て替えてでも払いますので」
ということで一件落着です。
(と簡単に書いてますが、実はここまで約2か月かかりました・・・)
その後相当に叱られたであろうテナントは解約することになりましたが、無事にその後のテナントさんも決めることができました。
いや、こういうのを経験すると、つくづく最初の契約の時の与信審査が大事だなって思います。
(石田)