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都市鉱山のような場所を発見!オーナー負担なしでシェアオフィスに

都心の中心、誰もが目を留める西麻布交差点の角という最高の立地に建つ、築50年超の複合用途ビル。そのワンフロアは、かつて住宅として使われていましたが、設備の老朽化や内装の傷みが進み、長年にわたり収益を生み出さない「空室」の状態が続いていました。

ビルのオフィス部分についてのご相談を当初いただいたのがきっかけだったのですが、「実は他にも空いてるところがあるんだよね」ということで、7階の元住宅部分を見せていただきました。オーナーは、これだけの好立地ながら「内装も設備も古いし、もうここはどうしようもないよね?」と、半ばあきらめムードでした。古いビルに数千万円もの大規模な改修費用を投じることへの「投資リスク」と「先の見えない不安」に直面し、なかなか再生に踏み切れないというジレンマを抱えていらっしゃいました。

そこで私たちは、オーナーにとってリスクを完全にゼロにする独自の再生スキーム(ツクモル保証)をご提案しました。それは、我々がビルを現状のまま一括で借上げ、全ての改修費用を自社で負担してリノベーションを実施するというもの。この仕組みによって、使われずに埋もれていた空間は、都心で働く新しいニーズに完全にフィットした魅力的なシェアオフィスへと生まれ変わり、オーナーは長期安定的な賃料収入を確保することができました。この再生事例は大きな反響を呼び、竣工後にはさらなる区画の追加借上げのご依頼をいただくなど、オーナーとの継続的な信頼関係を築く結果となりました。

実際の進行

ご相談の内容

オーナーからのご相談は、「元住宅だったフロアの設備や内装がボロボロで、何年も使っていない。どうにかしたいけれど、古い建物なので大金をかけるのは怖い」という、不動産経営における非常に切実な悩みでした。

実際に現地へ伺い、フロアを拝見したときの驚きは今でも鮮明に覚えています。「こんな都心のど真ん中の一等地で、まだこんなにも時間が止まった空間が残されていたとは!」と。内装は古く、元々4つの住宅に分かれていたため、部屋と部屋の間には撤去できない間仕切り壁や、昔のお風呂の痕跡などが残っている状態でした。

しかし、私たちは同時に「これだけの立地とポテンシャル、磨けば必ず光る」という確信を持ちました。

再生への課題は多岐にわたりました。構造上、「大きなワンフロアオフィス」にはできないという物理的な制約。元々住宅だったため、オフィス利用に向けた法規的な用途変更の複雑さ。そして何よりも、多額の改修費用の投資回収に対するオーナーの強い不安です。「リノベーションした方がビル経営上いいと分かっていても、あと何年このビルが使えるかわからないし…」という不安が、大きな決断の壁となっていたのです。

我々からのご提案

得難い立地、広い屋上も広い空と六本木ヒルズも望めるとても気持ちいい空間、私たちは「適切な商品企画とリノベーションさえできれば、入居者募集に苦労することはない」と自信を持っていました。

まず、当初のご提案としては、商品企画から工事、募集までを弊社がサポートし、オーナーご自身で費用を投じて再生していただくプラン(ツクモル企画)をご提示しました。シミュレーション上、リノベ費用は2,500万円、投資回収期間は2年程度と試算できましたが、「古いビルにそんなにかけるのはやはり怖い」というオーナーの不安は根強く、ご決断には至りませんでした。

そこで、私たちはオーナーのリスクを完全に引き受ける「借上リノベサブリース:ツクモル保証」という選択肢を再提案しました。

「それでしたら、私たちがこのままの状態でビルを一括で借上げ、リノベーションにかかる費用もすべて自分たちで負担して転貸するのはどうでしょうか。その分、賃料は市場相場よりもだいぶ安くなってしまいますが…」とお話ししました。

この提案に対し、オーナーは「このまま何もしなければいつまでもお金にならないんだし、初期投資のリスクなく賃料も保証してくれるなら」と大変喜んでくださいました。古いビルへの改修投資という、最も重い心理的負担を私たちが引き受けることで、不安から解放されたのです。

契約としては、転貸を前提とした普通借家契約(期間6年間)を締結しました。弊社側では自費で投じたリノベ費用の回収期間を4年程度と見立て、市場賃料の約1/4という水準で現状のまま借上げをスタートさせていただきました。このリスクゼロの取り組みが、オーナーと我々双方にとってメリットを生む形となりました。

リノベーション後の状況

リノベーションの鍵となったのは、元住宅の構造が持つ「壊せない壁が多い」という制約を、いかにプラスに変えるかというパズルを解くような作業でした。
一般的なオフィスではレイアウトを制限しマイナスとなる「細かく分断された空間」も、逆から考えれば「小さな個室ブースを効率的に作りやすい」というメリットとして捉え直すことにしました。

この発想から生まれた商品企画が、「都心の便利な場所で、初期費用を抑えながらも、プライバシーが守られた自分だけの空間を持ちたい」というスタートアップや小規模オフィスをターゲットとしたシェアオフィスでした。結果として、小さな個室6つ、さらに利用者同士が交流できるキッチン付きの広々としたシェアラウンジを設置。屋上も遊び心溢れるコミュニティと集中力を両立できる魅力的な空間が誕生しました。

そして、このプロジェクトの企画段階において、知人の依頼で明治大学建築学科のリノベーション授業のテーマ物件としてこの空間再生の課題を提供しました。学生たちはこの空間の特性を深く掘り下げ、「各入居者が主菜やおかず、お味噌汁のように、みんなで一つの定食を造り上げるような場所に」という想いを込めて「テイショク西麻布」という素敵な愛称を付けてくれました。「定食屋と間違われそうだけど、場所のコンセプトをうまく表現してる」とそのまま採用しました。

竣工後には、テナント様をお招きしたオープニングイベントを開催する等、場所を知ってもらうことから始めたのですが、「小割オフィス+シェアスペース」という一般のオフィスとは違う形態に、リーシングの立上がりは少し苦労もありました。仲介会社にも認知が浸透し始めたころから商談も増え、半年くらいでようやく満室になった、という流れです。

その後テイショク西麻布の入居者イベントにはオーナー自らもご参加くださり、生まれ変わった空間で深夜まで酒を酌み交わすというお付き合いもできるようになりました。これは、単にカッコよく建物を直すよりも、やはりプライスレスな空間になるには人が大事だという典型例だと思います。

後日談

完成の数年後にビル内の他の区画に空きが出た際、オーナーから私たちに「追加で借上げて、同様に再生してくれない?」というご依頼をいただき、現在では当初の約2倍の面積に拡充するまでになりました。築古でも、オーナーがリスクを負わなくても、建物の特性を再編集して、オーナー・テナント・そして私たちの三方よしを生み出せた好例です

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